【広州(中国)5日=鎌田直秀】アジア大会に参加するU-21(21歳以下)日本代表が、8日の1次リーグ中国戦(天河体育場)に備え広州入りした。尖閣諸島問題の漁船衝突場面のビデオ流出直後ということもあり万全の警備態勢。セキュリティーチェックなど入国完了まで約1時間半を要し、取材対応も原技術委員長だけ。中国人記者が関塚隆監督(50)に話しかけ、止められる一幕もあった。監督、選手らは出口に横付けされたバスに急いで乗り込み選手村に向かった。

 初日の空港からアウェーの洗礼を受けた。この日、尖閣諸島での漁船衝突ビデオがインターネット動画映像サイトで全世界に流出。入国に約1時間半を費やした。警備員約10人や大会ボランティアスタッフが引率し、出口脇にバスを横付けし監督、選手が脇目もふらずに乗り込んだ。中国人記者が関塚監督に話しかけるも、すぐに制止された。関塚監督は急な事態に戸惑いを隠せなかった。

 取材も原委員長のみ。バス出発までの短時間で慌ただしく答えた原委員長は「アウェーとかいうより、もっと大きな問題。我々は良い準備をして良い試合をするだけ」と言っただけ。

 10日に対戦するマレーシア代表はほぼ同時刻に到着したが、空港出口で記念撮影をしたり、ハンバーガーを購入して食事をするなど、のんびりする姿とは対照的な超厳戒日本代表チームの移動風景だった。

 練習も選手村内で軽めに体を動かすしかなかった。練習会場の市橋二中グラウンドは午後2時開始。空港到着時間と同時刻のため、日本協会は時間変更を求めていたが大会組織委員会には認めてもらえなかった。代替地も無く、結局断念。原委員長は「思い通りにはいかない。明日も決められた場所でやるしかない」と受け入れるしかない。

 8日中国戦まであと2日。ただでさえ準備期間が少ない中、アウェーの環境が重くのしかかる。選手らはマスクを着用するなど、体調管理は万全だ。「言い訳はしたくない」。原委員長の言葉通り、厳しい環境で高い結果が求められる。