まずはシステムより個!

 日本代表FW本田圭佑(24=CSKAモスクワ)が、1日のキリン杯ペルー戦で3-4-3と4-2-3-1を併用して消化不良に陥ったザックジャパンに提言を送った。日本代表は2日、新潟市内で調整練習を行った後、7日の同チェコ戦(日産ス)に備えて横浜市内の宿舎に移動。本田は練習後に「システムに固執しすぎ」とキッパリ。チーム戦術が必要不可欠であることを前提としながらも、個の力の重要性やこだわりを強調した。

 日本の大黒柱が、変幻自在なシステムの変化を目指し、発展途上のザックジャパンに提言を送った。ペルー戦の前半に3-4-3でプレーし、消化不良の状態に陥ったチームをベンチから見守った本田の分析は、冷静かつ単純明快だった。

 本田

 前半は窮屈な感じだった。もっといいところが出せると思うんですけど、考えすぎの部分もある。メディアの皆さんも含め、システムに固執しすぎ。3-4-3でも何でもいい。その話をやめにした方がいい。誰が良くて、誰がよくなかったか。誰がボールを奪えたかとか、そんな話をするべきだと思う。

 まずはシステムより個の力-。本田の「個」へのこだわりが表れた。ザッケローニ監督の「代名詞」と言われる3-4-3の約束事を意識しすぎるあまり、自慢の積極的な攻撃サッカーが影を潜めたペルー戦の前半。システムを優先し、持ち味が消えては本末転倒だ。世界で勝つためにチーム戦術が必要不可欠なことは当然理解した上で、あえて「個」の重要性を説いた。

 1対1の激しいせめぎ合いで勝ち、局面に応じて個人の力でゴールを奪えることが大事だと考える。だから「新しいシステムだったし、Jリーグでもやっているところはないので、ほとんどの選手が初めてで型にはまっていると思った」とチームの課題を挙げた。

 当然、「個」の能力とザッケローニ監督の高等戦術が融合すれば、チーム力が飛躍的に高まるという思いはある。「(ペルー戦の内容も含め)監督はすべてを想定していると思う。あのようになるのも分かって、あのメンバーでやったと思う。うまくいかなかったことも収穫」。ペルー戦の状況さえ、失敗は成功のもとと前向きにとらえた。

 最後に、集まった報道陣に対し「(システムに固執するのではなく)僕も皆さんと一緒に成長していければと思いますけどね」と笑みを浮かべた。9月から始まるW杯アジア3次予選まで準備期間は短い。先発が決定的な7日のチェコ戦で、本田が「個」の力でチームを引っ張る。【菅家大輔】