<国際親善試合:U22日本2-1U22エジプト>◇10日◇札幌ドーム

 追加招集されたMF山田直輝(21=浦和)が、“ラストチャンス”で圧倒的な存在感をアピールした。トップ下で先発出場。同エジプト代表に先制された後、前半11分に右足で同点ゴールを決めた。同30分にはFW永井謙佑(22=名古屋)の決勝弾につながる絶妙なスルーパスを出し、逆転勝利の立役者になった。18歳でA代表に招集された五輪世代の出世頭が、度重なるケガを克服し、9月に始まるロンドン五輪アジア最終予選に間に合わせた。

 右足のアウトサイドに最高の感触が残った。前半11分、DF酒井宏の右クロスが相手に当たり、ペナルティーエリア内右の山田の目の前にこぼれた。ためらいなく右足の外側でたたく。横回転でスライスしたボールが、伸ばしたGKの右手より一瞬早く、ゴールラインを通過した。

 前半5分の失点を一瞬にして取り返した。「密集してコースがなかったけど積極的に打った。1点入れられてたんで」と振り返った。勢いは止まらない。トップ下の位置からあらゆる場所に顔を出して、自分のリズムを作っていく。同30分。敵陣右サイドから、左サイドに走り込む快足FW永井に目線を送った。右足で低くて強い約30メートルのスルーパス。「永井君だったからあのスピードで出せた。弱かったらカットされてる」。自賛のパスで決勝点も演出した。

 五輪世代の出世頭だった。A代表初招集は18歳だった09年5月キリン杯。チリ戦ではMF本田圭の代表初ゴールをアシスト。いきなり結果を出した。しかし、その直後から苦難が始まった。中学時代から抱える腰椎分離症が悪化し、さらに故障が続いた。10年1月のアジア杯予選イエメン戦で再びA代表に選出されたが、試合で右腓骨(ひこつ)を骨折して全治3カ月。8月にも同じところを再骨折。年代別代表にも呼ばれなくなった。

 復活を期した今季は、両足で約30万円もするすね当てを装着してプレーを続けた。しかし、長期離脱の影響で体調が上向かず、リーグ戦初出場は6月15日の広島戦。8月のA代表候補合宿に呼ばれた時は「びっくり。レッズで結果を残せてないのに」と驚いたが、潜在能力の高さをザッケローニ監督も評価していた。今回はケガの原口に代わっての追加招集。五輪最終予選前の最後のアピール機会で、見事に結果を残した。

 「五輪には絶対に出たい。小学生のころから言っていたんで。日の丸を背負うのが夢だった。メンバーに残れるようにチームに戻っても頑張りたい」。夢舞台への道はまだ始まったばかり。あどけない表情をきりりと引き締め、さらなる飛躍を誓った。【阿部健吾】