<ロンドン五輪アジア最終予選:日本3-0タイ>◇1日◇中国・山東スポーツセンター

 緊急出動で、なでしこジャパンを初戦突破に導いた。MF宮間あや(26)が0-0で迎えた後半開始から左サイドで出場。攻撃の起点となり、得意のCKでDF田中明日菜(23)の2点目も演出した。この試合で、女子史上4人目となる代表通算100試合出場を達成。沢主将の“後継者”が、サッカー人生における記念すべきピッチで躍動し、チームの快勝発進に大きく貢献した。

 予想外の展開に、宮間がスクランブル発進した。日本は前半、チャンスを決めきれず無得点で終了。時折、眉間にしわを寄せながらベンチで戦況を見つめていた宮間は、後半からMF宇津木に代わって左サイドで出場。フラストレーションを発散するように、ピッチを走りだした。

 宮間

 前半は、それぞれがいいところを出していたけど、かみ合わなかっただけ。私も準備はしていた。こういう展開で逆にスイッチが入った。簡単にボールをつなごうと、みんなに言っていた。

 言葉通り、ボールを支配した。開始2分、正確なロングパスをMF川澄が頭でつないで前線に送り、さっそくチャンスメーク。7分後には、ゴール正面のFW永里優に絶妙パス。永里優がGKと激突し得点はならなかったが、宮間が確実に攻撃のリズムを生んでいった。そして16分、川澄が先制ゴール。同30分、宮間は右からCKを上げると、田中のゴールで2点目につなげた。ロスタイムには、カウンターから抜けだし一気に相手ゴール前へ。左足で蹴ったボールは惜しくもゴール左のサイドネットに当たり、天を仰いだが、最後まで攻めの姿勢を貫いた。

 11日間で5試合という過密日程の今予選、宮間を温存したかった佐々木監督にとっては、予想外の部分もあったかもしれない。それでも、主将沢が「後継者」に認める宮間の投入で白星発進に成功した。宮間は「意識はしていなかった」と淡々と振り返ったが、この試合で代表通算100試合出場を達成した。

 宮間を小学時代から知る本田美登里さん(46=現U-19代表コーチ)も、大器の片りんを感じていた。初代監督を務めた岡山湯郷のセレクションで、当時高校生だった宮間は黄色とえんじの縦じまの派手なユニホームを着て参加し、目を引いた。「目で追いかけたくなる子。それも運。この子は、とんでもないことをやっちゃうかな?

 という思いがあった」。あれから約10年。日の丸を背負う一流選手になった。

 「(W杯優勝は)置いておいて、おごることなく、もう1度チャレンジャーとして五輪切符をとりたい」。明日の韓国との第2戦も勝利だけを目指して臨む。