飛び職人が、飛び道具の封印を解く。日本代表MF遠藤保仁(32)が、アイスランド戦(24日、長居)で、直接FKを狙う。大阪合宿3日目の22日、練習後にFKを試した。1年前からの右内転筋痛で、昨夏からは所属するG大阪で直接FKをほとんど蹴らず、代表でも昨年10月のタジキスタン戦から極力回避してきたが、6月に始まる14年W杯ブラジル大会アジア最終予選での完全復活を目指し、今月の代表2戦で試運転する。

 約2時間の練習後、遠藤がゴール前約20メートル地点にボールをセットした。9本中ネットを揺らしたのはわずか1本だけ。精度は落ちていたが、左にぐいっと曲がる鋭い曲線は健在だった。「アイスランド戦は蹴ってみようと思っている。試合をやる時は、ほとんど痛みもないしね」。

 代表はアイスランド戦と、消化試合となったW杯3次予選のウズベキスタン戦(29日、豊田ス)が終わると、最終予選まで招集がない。「FKは蹴る技術も必要だけど、その場の雰囲気にのみ込まれないことも重要だから」。日の丸を背負い、満員観客からの熱い視線が注がれる雰囲気の中、直接FKを試せるのは今月の2試合だけ。6月にはMF本田圭佑も代表復帰するはず。W杯南アフリカ大会のデンマーク戦で世界をうならせた本田の左と遠藤の右。再び世界を驚かせるため、遠藤が肩慣らしする。【盧載鎭】