神戸FW大久保嘉人(29)が、日本代表での再スタートを切る。今日24日の親善試合アイスランド戦(長居)に向け、23日は試合会場で非公開調整。ザックジャパン初招集の大久保にとって、PK戦で世界8強入りを逃した10年W杯のパラグアイ戦以来の国際Aマッチになる。あの試合でPKを外したDF駒野友一(30)を気遣い「オレがPKを取って、駒ちゃんに蹴らせる」と宣言。悪夢の払拭(ふっしょく)から、2年後のW杯へ歩み出す。

 大久保らしい言葉だった。雨上がりのピッチで行われた非公開調整後、機嫌良くロッカールームから出てきた。1年8カ月ぶりとなる国際Aマッチ。忘れることなく、心にくすぶっていた思いを、ぶつける日がやっと巡ってきた。「オレがPKを取って、駒ちゃんに蹴らせなアカンやろ。あれから、駒ちゃんPK蹴っていないんやない?

 そこからだよね」。

 世界8強入りをかけた10年6月29日の決勝トーナメント初戦パラグアイ戦は、0-0の激闘のままPK戦に入った。3人目の駒野が蹴ったシュートは、クロスバーに嫌われた。手の届くところまで手繰り寄せた8強を逃し、先発した大久保も、駒野も涙にくれた。やんちゃ坊主の大久保と、生真面目な駒野。人柄は対照的。それでも04年アテネ五輪でともに戦い、気心が知れているからこそ、駒野のことが気になっていた。

 「アイスランドは体がデカイ。オレは、その方がやりやすいんよ。DFの間を抜けていけば(PKの)チャンスはあるからね」。得点イメージも、PKを得るイメージもできている。あの悪夢を振り払った先に、14年W杯ブラジル大会がある。【益子浩一】