日本代表FW香川真司(24=マンチェスターU)が、引き分け以上でW杯出場が決まる4日のアジア最終予選オーストラリア戦(埼玉ス)で“禁じ手プレー”でゴールを狙う。日本代表は5月31日、愛知・豊田市内で練習後、埼玉に移動。完敗した前日のブルガリア戦の反省を生かし、香川はチーム内の約束事にこだわりすぎない動きが必要と提言した。5大会連続W杯出場へ、日本のエースが大胆に攻める。
オーストラリアとの決戦を4日後に控え、香川が固い決意で「脱決め事」を誓った。0-2で完敗した前日のブルガリア戦後、選手は宿舎で自主的にミーティングを開いた。導いた結論は、システムにとらわれ過ぎず、時には形を崩してでも攻撃に出なければならないことだった。
「攻守においての話をしました。(状況に応じて)個人の判断でやっていかないといけない」。ザッケローニ監督は就任以来、選手に意図するサッカーを浸透させ、前線から組織的な守備ができるよう、両サイドの攻撃的選手には、できるだけ外に張ってプレーをするよう求めてきた。選手も監督の意図を理解し、決め事を守ってきた。勤勉な日本人の特性でもあった。
だが、時間帯や得点差によって試合の流れは変わる。香川はその時で必要とされるプレーをピッチ上で感じ取り、監督の指示なしでも臨機応変に動くプレーを、より試合で出していく必要性を説いた。
FW本田が不在の中、4-2-3-1のトップ下で起用された3月22日のカナダ戦でも、香川はFW、両サイドMFとの距離感や全体のバランスを意識し過ぎるあまり、攻撃のリズムを作れずに苦しんだ。ブルガリア戦では前半に3トップの左を務めたが、ボランチの押し上げが少なく「いくら僕らがボールを受けても、前線で体を張ってつぶれても次へと運べない…」と課題を感じていた。本来の4バックに戻した後半も得点には至らなかった。
前日はホームでの完封負けのショックからか、厳しい表情を浮かべていた。この日の練習では晴れ渡る青空の下、ランニング時に笑顔をみせるなど、確実に明るさを取り戻しつつある。
「負けたことはすごく悔しい。この負けは精神的にくる。次はやらなきゃいけない。やるだけです」。決して規律違反ではなくチームの勝利のため-。香川はドルトムント、マンチェスターUと3年間、世界の一流クラブで培った瞬時の判断力を織り交ぜ、自身初のW杯への切符をつかみとる。【福岡吉央】
▼過去の「おきて破り」
監督からの指示ではなく、選手個人の判断で動いた成功例として、02年W杯日韓大会でのDF宮本、松田らが挙げられる。当時のトルシエ監督はDF3人をフラットに並べ、ラインを高く押し上げて守る「フラット3」を採用。オフサイドトラップを多用し、できる限りコンパクトに守るプレッシング・スタイルだ。だが、6月9日の1次リーグ・ロシア戦で同監督がベンチから「ラインを押し上げろ!」と指示を出す一方で、選手は「押し上げすぎると逆にやられる」と判断し、自分たちのやり方を貫いた。その結果、日本は1-0の完封勝ち。この1勝が、日本の記念すべきW杯初勝利となった。

