日本サッカー協会は12日、東京・文京区のJFAハウスで理事会を開いた。八百長疑惑に関する告発状受理で前日本代表監督ハビエル・アギーレ氏(56)を解任したことに対し、大仁邦弥会長(70)が給与の50%自主返納、原博実専務理事(56)霜田正浩強化担当技術委員長(48)の同30%自主返納の処分を決定した。

 結論は、任命責任なしだった。会見に出席した大仁会長は終始、淡々とした口調だった。「監督の任命については力量、手腕は問題なかったというのはこれまで通り」と強調した上で「解任せざるをえず、ファン、サポーター、スポンサー、サッカー関係者にご心配、ご迷惑をかけた。身辺調査の意識がなかったのも確かで、反省しなければならない」とした。会長が給与の50%を4カ月、原専務理事、霜田技術委員長はともに同30%を4カ月自主返納すると発表した。

 大仁会長は来年3月までの任期を全うする意向を示した。「今年4月末にはFIFA理事選が行われる。また15年4月から8年間の事業計画を策定している。それらの責任を全うしたいと説明した」と語り、原専務理事からも責任を全うしたい意向があったという。霜田技術委員長からは、3日に辞意の申し出があったが次期監督選任を理由に「そのままやるように」と伝えたことを明かした。

 理事会では主に、アギーレ氏との契約時にもう少し身辺調査などができなかったのか、契約解除に至るまでの対応は正しかったのか、さらには契約解除が正しかったのか、などの点が議論になったという。「これらについては責任がない、と(理事会で)結論が出た」と会長が言うように、減俸という強制的なものではなく、自主返納という手ぬるい処分となった。

 処分の基準について同席した三好豊弁護士は「今回のようなケースで基準となるものはない。違反があったわけではないが、迷惑をかけたことに対しての処分は可能のため、理事会で議論に至った」と説明。

 次期監督選びについて、理事会では議題が挙がらなかった。「(渡欧中の)霜田氏から連絡があるか?」という報道陣からの問いに、大仁会長は「報告は全くない。相当忙しいのだろう」と言うと、一部から失笑が漏れた。アギーレ問題で約半年の空白をへて、ロシアへ向け仕切り直すこととなる。

 ◆日本協会理事会

 大仁邦弥会長を筆頭に、田嶋幸三副会長、村井満Jリーグチェアマン(副会長)、馬渕明子副会長、原博実専務理事、中野幸夫常務理事、上川徹審判部長(理事)、三好豊法務委員長(理事)中西哲生特任理事ら、39人からなるJFAの最高議決機関。