悲願の初タイトル、そしてアジアの頂点を目指し、川崎Fが21日、異例の「国立競技場貸し切り練習」を敢行した。23日に同会場で行われるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦名古屋戦のためのもの。ホーム戦ながら移動が伴うことや、過去同会場では勝率が低いことなどから、本番2日前に使用料金36万8000円で70分間の練習を行った。同会場が単独チームの練習のために、貸し出される例はほとんどないという。

 「ありがとう」。国立競技場での練習を終えた関塚監督は、この日の練習の手配をしたクラブスタッフに感謝した。「(試合前日に川崎市内の)麻生グラウンドで午前に練習した後、宿舎に入る日程を保てるので、今日使わせてもらった」。今回はホーム戦ながらアウェー戦同様、移動や前泊が必要。通常のアウェー戦前日の流れで練習、移動したいという関塚監督の要望から、70分限定で「貸し切り」が実現した。

 同競技場は例年11月に、各競技団体に翌年の予定を確認して年間日程を立てる。競技場関係者は「よほどのことがない限り、予定外で貸せる状況じゃない」と説明。もともと等々力競技場で23日にスーパー陸上が予定されており、急きょ国立開催が決まった背景から快諾された。今回は両クラブの申し合わせで試合前日の公式練習はないが、それを前倒しにした形だ。

 同競技場の規定で使用料は36万8000円。クラブ関係者は「芝の違いを確認したかった。うちはパスを回すので長さや球の転がりなど、微妙なところが重要」と強調した。この日の芝は柔らかめ、等々力より3~5ミリ長い約18ミリで、FW鄭は「最高。パスがよく回る」と好感触を得た。

 国立では過去3勝1分け6敗。00、07年とナビスコ杯決勝で敗戦など、いい思い出がない。ただ名古屋には今季リーグ戦2戦2勝と相性は良く、MF中村は「アウェーゴールを与えず、勝ちきるのが一番大事」と繰り返した。【村上幸将】