<アジアCL:G大阪2-1水原三星(韓国)>◇13日◇1次リーグ◇G組◇万博

 「G大阪の至宝」ことFW宇佐美貴史(17)が、劇的決勝弾を決めた!

 17歳の新星が後半ロスタイムに逆転弾を挙げ勝利。鹿島に続き3年連続で1次リーグ突破が決定した。遠藤ら主力が故障欠場。日本サッカー界の将来を担う期待の星が、チームの窮地を救った。08年以来2年ぶりのアジア制覇へ、まずは1歩前進した。

 誰よりも、自分自身が驚いた。表示2分の後半ロスタイム。時計の針は47分11秒を指した。まさに残り1プレーで、17歳宇佐美がゴール前へ飛び込んだ。相手DFの裏に抜けると、佐々木からの右クロスを左足で合わせた。ボールは韓国代表で100試合以上に出場したGK李雲在(イ・ウンジェ)をすり抜けゴールへと吸い込まれていった。土壇場で「G大阪の至宝」が試合をひっくり返した。

 宇佐美

 ボクが1番ビックリしています。あんな(泥臭い)点を決めたことないので。「持っとる」んかな。(DFの)間にうまく入れた。きれいにGKの間をボールが行くなんてね。

 窮地を救った。遠藤、橋本、ルーカス、チョ・ジェジン、平井…。主力が大量離脱し先発が巡ってきた。09年にトップ昇格したが、体力的に足りない部分も多い。試合前にはバナナを胃袋に押し込んだ。その理由を「足をつらないようにするには糖分が必要。それはバナナがいいと聞きました。恥ずかしいから、バナナを食べたって言いたくなかったけど」と苦笑いした。

 西野監督からのゲキが利いた。ハーフタイムに指揮官から「(前半は)失望した。相手DFラインが浅いのに、ボールへのアプローチが多すぎる。もっと(DFの裏を)突かないといけない」と指摘された。その言葉に奮起。先制された直後の後半16分にはゴール前で粘り二川の同点弾をアシスト。1得点1アシストで全得点を導き出した。

 宇佐美

 結果が欲しかった。でも謙虚さは失わないようにしたい。勘違いしたらダメですから。

 桜咲く4月に高校3年の始業式を迎えたばかり。通信制の高校に通うが「勉強は好きじゃない」とまだ初々しさを残す。日本の将来を担う新星が、G大阪を2年ぶりのアジア制覇へと前進させた。【益子浩一】