浦和が開幕戦を逆転勝ちで飾った。勝利の立役者は同点ゴールの興梠、ではなく、逆転ゴールのMF宇賀神友弥(26)でもない。ペトロビッチ監督の通訳もつとめる杉浦大輔コーチ(40)だった。

 後半29分にボールがタッチラインを割ると一目散にボールを拾い、MF関根へ返す。すかさず関根は再スタートし、森脇へスローインでパス。相手が守備陣形を整える前に、森脇が出した左足の横パスを武藤がスルーして、宇賀神がゴール。タッチを割ってからわずか15秒。会場にいたどのボールボーイよりも素早く動いた、即席ボールボーイの活躍で浦和が開幕戦をものにした。

 杉浦コーチは「いつもやっていることですよ」と言うように、ほぼ毎試合、ベンチ付近飛んできたボールは飛び出して投げ返している。何十回も繰り返しているうちの1回が、貴重な決勝点を導いた。「特に審判から注意を受けたことはありません」と話すのは、アクチュアリー・プレーイング・タイム(90分のうちの実際のプレー時間)に貢献しているからか。浦和の同タイムは昨季58分36秒。1位の広島(61分34秒)に次ぐ2位に大きく貢献している。

 その杉浦コーチ、40歳になっても体脂肪率は1桁をキープ。日々の鍛錬が、この日の決勝点を導いた。影のマンオブザマッチだ。