ゴールデンウイーク(GW)の主役は俺だ! G大阪の日本代表FW宇佐美貴史(22)が、クラブタイ記録となる6試合連続得点を決めた。ホームで松本を下して6連勝。ACLを含めた公式戦でも8連勝で9発と絶好調が続く。次節5月2日の首位浦和戦(埼玉)に勝てば、昨季の3冠王者で2位のG大阪が今季初の首位に立つ。日本代表のエース候補は大一番でクラブ新記録を目指す。

 黄金色の髪が汗とともにキラリと輝いた。前半16分、相手パスミスからのこぼれ球を宇佐美が拾った。ペナルティーエリア付近まで約20メートルをドリブルで運び、パトリックへパス。ゴール前で相棒から愛のある折り返しを受け、右足で直接蹴りこんだ。6戦連発の瞬間だった。

 「いつもと変わらず、チームが勝てばいいと思って臨んだ。あと1つ(得点を)取らないと上にはいけない。肩を並べたのは良かったけど、もう1つ決めて抜けたところにいきたい」

 6戦連発はG大阪では過去6人、偉大な先輩たちが達成していた。97年エムボマや、年間33点で得点王に輝いた05年アラウージョらに並んだ。今季は下部組織時代の恩人、上野山取締役に「得点王になるなら、アラウージョ超え(33点以上)しろ」とハッパを掛けられた。試合後は「7試合連続で点を取った人がいないので、チャレンジできるのはありがたい。達成できれば、自分だけの記録になる」と言い切った。

 目指すはGW真っ最中の次節5月2日、宿敵浦和戦での新記録樹立だ。同6日は宇佐美の誕生日で、新記録と首位浮上が懸かる大一番は、22歳で臨む最後の試合。GW生まれのエースはG大阪ジュニアユース、ユース、さらにプロになってもこの時期は試合が重なり、サッカー漬けの日々。今年はより燃える材料がそろった。

 人一倍練習量が多かった宇佐美は、小学校の頃から3カ月に1度スパイクを買い替えてもらった。いつも売り場の棚の一番上にある最新モデル。幼くても、1万円以上するスパイクを身につけるほど、足もとにはこだわりを持っていた。高額商品を買ってくれた両親への感謝の気持ちは忘れていない。

 宇佐美が得点すると、J2時代の13年秋からG大阪は30試合連続で不敗が続く。「得点がチームの勝利につながっているのは、うれしい」。通算9得点で、2位に3点差をつけた得点王争いはトップを走る。「点を取るのがサッカーで一番難しい。何よりも仕事をしてくれている」と長谷川監督。クラブ史上初の7戦連発へ。そして、J1単独記録となる9戦連発へ。エースは次なる挑戦へと立ち向かう。【小杉舞】

 ▼J1連続試合ゴール G大阪FW宇佐美がリーグ戦6試合連続得点でチームは6連勝。J1で6試合以上連続ゴールは史上18人目(20回目)だが、その間にチームが全勝したのは、93年のカズ、97年のエムボマに次いで3人目の快記録(PK戦突入は引き分け扱い)。次戦2日の浦和戦でもゴールを決めて7試合連続となれば史上7人目で、日本選手では98年の森島、02年の高原に次いで13年ぶり3人目となる。なおJ1最長記録は8試合連続で、97~98年のサリナス(横浜M)。