山形が今季2度目の東北ダービーで借りを返した。3月7日のリーグ開幕戦で敗れた仙台に雪辱した。前半24分、MFアルセウ(31)がGKのこぼれ球を押し込み先制。同39分には元仙台のFW万代宏樹(29)が、今季公式戦初出場のMF瀬川和樹(25)からのクロスを冷静に決めて逃げ切った。2位神戸に勝ち点で並んだ山形は、初の決勝トーナメント進出をかけ6月3日の最終節ホーム横浜戦に臨む。

 今季2度目の先発に万代は燃えていた。1-0で迎えた前半39分。豪快に左サイドを駆け上がった瀬川のピンポイントクロスに反応した。「高卒で入団したベガルタは今も愛着がある。でも試合出たら、チームの勝利が1番。瀬川がいいボールをあげてくれた」。ペナルティーエリア中央からフリーで右足で蹴りこみ、チームに貴重な2点目をもたらした。

 リーグ前節神戸戦から先発8人を入れ替えて臨んだ。万代はナビスコ杯前節川崎F戦に続くスタメンで、瀬川とは居残りのクロス練習を一緒にやってきた仲だった。「瀬川も結果を残したい気持ちがあった。(2人で)決められて良かった」。1トップとして前線から献身的な守備で相手を追い掛け、攻撃面ではポストプレーで起点になった。

 瀬川にも意地があった。縦への推進力を買われて群馬から今季移籍してきたが、左サイドの定位置を奪えなかった。「腐ったら終わり。前半はシュートでもクロスでも自分を出せた。結果が出てよかった」。石崎監督も「攻撃でうるさいほど縦に行けと言っていた。彼の良さが出た」と評価した。

 2位神戸が敗れ勝ち点で並び、決勝トーナメント進出は最終節にまでもつれ込んだ。万代は「リーグでは連敗しているので、まずは(30日の)名古屋戦。そこから」と目線を上げた。ナビスコでの勢いをリーグにぶつける。【高橋洋平】