ゴン中山が2年9カ月のブランクを埋めるため、再スタートを切った。現役復帰を目指す元日本代表FW中山雅史(47)が5日、静岡・沼津市内で行われたJFLアスルクラロ沼津の練習に参加した。約1時間の全体練習をフルメニューで消化。選手登録は未定だが、12年12月にJ2札幌を退団して以来の緊張感あるチーム練習で、復帰への思いは完全に火が付いた。
長い長いブランクを埋めるように、ゴン中山の体から大粒の汗があふれた。わずか1時間。強い日差しを浴び、30度に迫る残暑に体はきつくて、息が苦しくなっても、これがなつかしかった。ピリッとした緊張感が身も心も引き締め、あっという間に過ぎていった。
中山 どこまでやれるかすごく不安でしたよ。1時間くらいでしょ? きついね。でも、そのきつさがいいね。「こういうもんだな」って。上を目指して、こうやっていくと欲は出る。
口とともに手も動かしながら「こう動かないといけないんだよなあ」。どこまで動けるか確かめた体と、頭の中のイメージを、シャワーで汗を洗い流した後も照らし合わせた。ウオーミングアップから全力でやれるように、体を温めて膝を固定。準備のための準備から始まった。練習前の円陣では「一生懸命やるんでよろしくお願いします!」と47歳の“新人”が自己紹介。誰よりも元気で大きな声が山に囲まれたピッチに響いた。最後には両膝に手をついて、肩で息をする。そんな姿をテレビカメラ7台が懸命に追った。
中山 やれることをやらないと。手を抜くことをしても意味がない。全力を尽くしましたけどね。ポッときてポッとやって「なんだよアイツ」って思われてもおかしくない。そう思わせない気持ちというか情熱とプレーの質。持っているものを出さないとどうにもならない。決して甘い気持ちでやれないと思っていたし、今日やっても感じた。
あのときあえて「引退」の2文字を封印した意味を、身をもって証明しようとしている。12年12月のJ2札幌退団会見で、ほのめかしていたカムバック劇。冗談めかして本音を言った。
中山 もしかしたらと言いましたし、リハビリを続けることも言いましたし、その言葉がウソじゃないということを見せないといけないし…。だから、プレッシャーでいっぱいなんだよね。ハードルじゃなくて、もう高跳びだよ。なかなか跳び越せない。変な言い方ですけど、諦めるためにやっているとも言える。
ドラマみたいな復帰への第1歩を終えると、悲鳴を上げる両膝のケアには練習と同じくらい時間をかけた。それでも湧き上がる熱い熱い情熱。いつか実現させるために、今は絶やさず前に進む。【栗田成芳】
◆アスルクラロ沼津 1977年(昭52)沼津アーセナルとして設立。06年に現在の名称に変更。11年東海社会人リーグ2部昇格し、翌12年1部昇格。13年にJ3ライセンスを取得し、14年にJFLで戦い8位。J3昇格を目指している。ユースチームからはGK川俣慎一郎(鹿島)DF小川大貴(磐田)FW加賀美翔(清水)らのJリーガーを輩出。アスルクラロとはスペイン語で「明るい青」を意味する。



