天才44番がメモリアル弾と12戦ぶり白星へとけん引する。J2札幌MF小野伸二(35)が10日、札幌・宮の沢での紅白戦で主力トップ下に入った。リーグ再開戦となる明日12日横浜FC戦(札幌ドーム)は、今季リーグ戦初の先発が濃厚となった。クラブのJリーグ通算ゴール数は897。攻撃の核として残り3点に迫った節目の900号をお膳立てし、四方田体制初勝利に導く。

 ついに準備が整った。10日の紅白戦でトップ下に入った小野は、最後までピッチ中央に君臨し、攻撃の起点としてフル稼働した。練習後は酸素カプセルでの疲労回復とマッサージに計4時間かけて、入念にケア。昨年8月25日栃木戦以来1年と18日ぶりのリーグ戦先発へ「勝つことだけを考えてプレーしたい」と、チームの12試合ぶり白星を見据えた。

 札幌のJ通算900号まで残り3点に迫っている。四方田体制では、Jクラブ相手の公式戦6戦で、まだ複数得点はないが、だからこそ小野の存在が不可欠になる。「工夫して多く点が入るように。そして自分自身も狙っていけたら」。横浜FCの失点数はJ2ワースト2位の46とチャンスはある。まずは先制点。さらに天才的配球から2、3点とたたみかけられれば、得点力不足解消のきっかけだけでなく、反転攻勢への勢いにもなる。

 天皇杯で試運転し、コンディションは今季最高の状態だ。8月29日の1回戦札幌大戦で30分、5日の2回戦横浜FC戦は公式戦初先発し、一気に76分までプレー時間を伸ばした。2段階チェックを経て、フル出場できる状態まで詰めてきた。「前回(天皇杯で)先発しているし、同じ雰囲気でやれれば、変わりなくプレーできる」と意気込んだ。

 2トップは縦への速さがある内村、ナザリトの先発が濃厚。俊足イルファンもベンチ入り確実で、どんな時間帯からでも小野のパスをゴールにつなげる体制が整った。デビュー戦となった昨季7月20日大分戦以降、ホーム札幌ドームでは出場8試合5分け3敗未勝利。今度こそ万全の“小野シフト”で躍動し、1年2カ月分たまった鬱憤(うっぷん)を、初ゴールで晴らす。【永野高輔】