今季3度目のみちのくダービーはドローに終わった。先手を取ったのは山形で、後半14分にMFロメロ・フランク(28)がゴール。だが同22分に仙台FWハモン・ロペス(26)が同点弾を決め、そのまま引き分けた。仙台は勝ち点を32にして、残留に向けて1歩前進。

 互いに勝ち点を分け合うも、敵地まで足を運んだ5000人のサポーターは大ブーイング。しかし仙台にとっては、確実につかみたい残留に「1歩前進」と言って過言ではない。1つの黒星が大きなダメージとなる終盤戦。伝統のダービーで勝ち点1を持ち帰り、渡辺監督はじめ選手たちは「負けないのはプラス。残りの戦いへつなげられる」と前向きに話した。

 指揮官の采配が当たり、勝利目前まで詰め寄った。1点を追う後半19分にFWウイルソンを投入すると流れは変わった。立ち上がりから相手ウイングバックの裏を狙う攻撃や、シンプルなクロスで相手ゴールを脅かす狙いは機能していたが、「なかなかギアが上がらず」(渡辺監督)。キープ力、決定力に優れるウイルソンが加わることで推進力を増していった。

 ハモンの同点ゴールの場面も、ウイルソンの胸トラップから石川直へつなぎ、最後はハモンが冷静にシュートを放ち、ネットを揺らした。追いつき、勝ち越すには十分なタイミングでのエース起用。ダービー独特の雰囲気の中での難しい試合で、最悪の結果だけは免れた。

 これで今季、山形とはナビスコ杯も合わせ1勝1分け1敗。白星こそつかみ損ねたが、2戦連続引き分けで天皇杯を含めても9月は4戦負けなし。最近好調のハモンは「練習でやっている結果が出た。これからも自分の力を生かし、勝利に貢献していきたい」。残り5戦、負けなし街道を進んでいくだけだ。【成田光季】