広島が第2ステージ(S)優勝をほぼ手中にした。敵地でG大阪に完勝。1試合を残して2位鹿島と勝ち点3差ながら、得失点で12差リードしており、22日の最終節湘南戦で大敗、及び鹿島が大勝しない限りは優勝が決まる。年間順位でも2位浦和に勝ち点2差で首位をキープ。就任4年で3度目のタイトルへ、森保一監督(47)がホームで宙に舞う。

 どこまで喜んだらいいのだろう? ピッチ中央に集まった広島の選手は、戸惑いながらも肩を組んで勝利の余韻に浸った。最終節で湘南に記録的な大敗、同時に2位鹿島が大勝しない限りは、広島の第2S優勝は動かない。年間でも2位浦和に勝ち点2差(得失点12差)だ。最終節で本拠地が歓喜に包まれるのは、ほぼ間違いない。

 「今日は肉弾戦だ!」

 試合前の円陣で、森保監督はそうゲキを飛ばした。敵地万博は00年4月8日を最後に、15年(10戦)も白星がない鬼門だった。士気を高めるために、体を張ることを求めた。その指示通り、前半33分にはFW佐藤寿人(33)が相手選手に激しく当たり、09年10月25日川崎F戦以来の警告を受けた。

 6年間もイエローをもらったことがないエースが、闘志をむき出しにする姿に他の選手も発奮。J1通算最多得点記録(157点)に王手をかけている佐藤は7戦不発で記録達成は逃したが、ドウグラスと清水が得点を重ね、守備陣も完封。チームの力が結集した勝利だ。

 佐藤 得点を奪うこと以外でもユニホームを汚すことも自分には必要。今日が194試合ぶりのイエローなので、できればもう一生、引退するまで警告はもらいたくないですけれどね。

 広島に再び黄金時代が到来する。森保監督就任後は12、13年にリーグ2連覇。昨季こそ無冠に終わったものの、今季は第2Sに加えて、チャンピオンシップ(CS)覇者に与えられる年間王者の可能性を残す。森保監督は「できれば今日、区切りをつけたかったが、我々はまだ何も手にしていない。さらなる成長と野心を持って、次の試合に臨む」。佐藤は「数字上はまだでも、現実にはもう(第2S優勝が)決まったようなもの。年間も1位でCSに進みたい」。現監督の就任4年で3度目の年間王者へ。広島の勢いは、もう誰にも止められそうにない。【益子浩一】

 ◆佐藤の警告 09年10月25日の川崎F戦以来6年ぶり。J1通算375試合で計11枚目。ここまで193試合連続で警告を受けていなかった。前回の警告は0-7で大敗した試合で、その理由は「異議」。今回のように「ラフプレー」による警告は09年4月以来。