サッカーW杯アジア2次予選の日本戦で「神セーブ」を連発したシンガポール代表GKイズワン・マフムド(25)が1日、来日した。来季からJ2に降格する松本の練習に参加予定。シンガポールの後進のためにも、同国初のJリーガーの座を目指し、オファーを勝ち取る意欲を示した。

 イズワンは、リラックスした表情で到着ロビーにやってきた。記者が掲げていた「We welcome IZWAN to Japan」と書かれたボードを見ると、のけぞって白い歯を見せた。自ら近づいてきて「サンキュー」と握手をしてきた。今の気分を聞くと、ちゃめっ気たっぷりに笑った。

 「朝が早かったし、疲れたよ。飛行機の中では寝ていたよ。あとはマックブックで映画を見ていたな」

 午前4時に起床し、8時半頃にシンガポールを出発した。練習の意気込みを聞かれると和やかな雰囲気が一変した。

 「楽しみにしている。機会をもらえると思っていなかった。この機会を大切にしないといけない」

 今日2日から5日まで松本の練習に合流する。

 「日本でやりたいことはトレーニング以外にはない。余った時間で何をしたいか全く考えてなかったな」

 今回の練習で実力を証明できれば、契約に至る可能性がある。移籍が実現すれば、シンガポール人では初のJリーガーだ。

 「すごく大きなチャンスだと思う。日本のチームに入ることができれば、より上のレベルに行けると信じていますし、シンガポールにいる選手の刺激にもなるんじゃないかな」

 日本戦でのスーパーセーブの数々は強烈なインパクトを残した。松本への練習参加が報道された1日付の本紙をプレゼントされると、大興奮だ。

 「ワオ~! マジかよ! 信じられない!」

 即座に自らの携帯電話で写真撮影。11月の試合後、日本代表のハリルホジッチ監督から絶賛され、頭をなでられたことを回想し「恥ずかしかったけど、うれしかったな」。本紙を大切そうにリュックにしまった。

 少ない滞在時間だが、日本語もできる限り覚えていく。日本語で「ありがとう」と言うと、照れくさそうな表情を浮かべ送迎の車で松本へ向かった。【上田悠太】

 ◆イズワン・マフムド 1990年7月14日、シンガポール生まれ。シンガポール「Sリーグ」のヤング・ライオンズを経てマレーシア・スーパーリーグに参加するシンガポール・ライオンズ・トゥエルブ加入。代表デビューは11年7月の台湾戦で、12年には東南アジア選手権優勝。6月のW杯アジア2次予選で日本から23本のシュートを浴びながら無失点。11月の予選では被シュート27本で3失点。国際Aマッチ32試合出場。元FWで身体能力も抜群。179センチ、86キロ。