Jリーグは発足から24年目のシーズンが、27日に開幕する。開幕直前企画として注目監督のインタビューを今日からお届けする。それぞれの監督に7つの質問をぶつけ、等身大の姿に迫る。第1回は元日本代表FWで、今季から初めて監督職に就く名古屋の小倉隆史GM兼監督(42)に聞いた。

 天国の父へ、成長した姿を見せる。今季から名古屋を率いる小倉新監督は、もがき苦しみながらも、目指す目標にブレはない。「やるからには優勝。それは当然のことです」。13日に打ち上げた沖縄合宿中は練習試合でも結果が出ず、決してチーム作りは順調ではなかった。それでもハッキリと言い切った。小倉監督の胸に生き続けている人が、苦しい時も、必ず支えてくれるはずだ。そう信じて開幕に臨む。

 小倉監督 監督に興味を持ったのはベンゲル(95~96年名古屋監督)がいたから。サッカー以外で、尊敬しているのは父です。他界したのは僕が30歳の時。監督としての自分を見てもらいたかったというよりは、昨年子供が生まれたので、孫を見せてあげたかった。

 父信之さん(享年62)は、着物を染色する伊勢型紙の伝統工芸士だった。03年8月にがんでこの世を去った。職人らしく、幼少時代から厳しく育てられた。

 小倉監督 よく叱られました。子供の頃から試合には必ず来ていた。僕がミスした仲間を怒ると「お前もミスをするだろう!」と怒鳴られた。腰に手を当てていただけで「態度が悪い!」と注意されましたね。今思えば、僕はやんちゃくれで、悪いことばかりしていましたから。本当に怖かった。

 高校(三重・四日市中央工)に進学する時も、プロ入りする時も、信之さんは「お前が決めた道に進め」と決断を尊重してくれたという。

 42歳の新人監督の趣味は意外にも「そば打ち」。オフの日には自宅で静かにそばを打つ。集中力を高めつつ、無心になれる時間だ。

 小倉監督 シーズン中は飲めない日が続くんでね。(オフの日は)おいしいそばが食べられればいい。そばを打つのは、そう難しくはないんです。粉が良ければおいしいそばができる。

 いいそばには、良い粉が必要。いいチームを作るのも、良い選手が必要。それをまとめるのが、監督の仕事になる。【益子浩一】

<小倉監督に聞く7つの質問>

 Q1 今季の目標とライバルになると思うチームは

 A 目標は優勝、ライバルは全チーム。

 Q2 今季のわがチームのウリは

 A (昨年からの)変化。スマートでインテリジェンス、組織的で共感するスタイルを打ち立てたい。

 Q3 勝利のルーティンは

 A 験担ぎのようなものは特にない。

 Q4 仮に10億円を与えられたら何に使いたい

 A 名古屋の中心部に、新スタジアムを建設する一部にしたい。メッシやネイマールを獲得するのも素晴らしいが、クラブの将来を考えた時に、アクセスの良いサッカー専用スタジアムが欲しい。

 Q5 好きな音楽は

 A ミスチル。車の中にだいたい(曲が)入っています。

 Q6 理想の上司、または尊敬する人は

 A 監督ならベンゲル(元名古屋監督でプレミアリーグのアーセナル監督)。尊敬するのは父。

 Q7 ストレス解消法は

 A そば打ち。

 ◆小倉隆史(おぐら・たかふみ)1973年(昭48)7月6日、三重県鈴鹿市生まれ。現役時はFW。7歳で白子サッカー少年団でサッカーを始め、四日市中央工高では、チームメートのDF中西永輔、中田一三とともに「三羽ガラス」と称され、3年時に選手権優勝。名古屋-エクセルシオール(オランダ)-市原(現千葉)-東京V-札幌-甲府でプレーし、J1、J2通算で241試合出場52得点。国際Aマッチ5試合出場1得点。06年2月に引退。昨年6月に名古屋のGM補佐、今季からGM兼監督に就任した。