仙台はアウェーで名古屋と対戦し、1-2で敗れた。前半ロスタイムに先制されたが後半、反撃に転じる。渡辺晋監督(42)が積極的に「超攻撃的」なカードを切り、後半37分にFWハモン・ロペス(26)のヘディング弾で一時は同点に追いついた。だが直後の42分に勝ち越され、今季初連勝を逃してしまった。対名古屋では11戦ぶりの黒星だった。

 もったいない試合だった。試合終了間際に2点目を失い、敗戦を告げるホイッスルが鳴り響いた。内容的にも、勝ち点「1」は拾えたゲーム。渡辺監督は「前節の鹿島戦勝利に満足するなという意気込みで臨ませたが、前半は特にスイッチが入らなさすぎた」と悔しさをあらわにした。

 前半のロスタイム弾が最後まで重くのしかかった。風下に立たされた45分は、相手に主導権を握られ苦戦を強いられた。「何とかゼロ(無失点)で帰ってくれば…」(渡辺監督)と言うように焦らずにしのぎ切って、後半勝負へ持ち込むはずだった。しかし、DF渡部とDF平岡を中心に封じていた199センチFWシモビッチに先制点を奪われ、プランは崩れた。今季、先制点を取られたのは初めてのことだった。

 後半、指揮官が動く。昨季は見られなかった「超攻撃的」カードを連続で切って「リスクを背負い点を取りにいった」(渡辺監督)と、勝利を目指し奔走する。ハモン、MF水野、MF野沢と立て続けに投入しては、相手ゴールへ襲いかかる。するとハモンが後半37分にゴールを割り、一時同点に追いついた。しかし、ゴールからわずか5分後に失点し、瞬く間に勝利はさらわれた。攻めまくる決断を下したまでは良かったが、渡辺監督は「勢いのまま2点目を奪いに行くのか、相手の圧を受け止めるのかという判断が、もう少しはっきりしていれば」と、悔やんだ。曖昧さを残した状況で相手のカウンターを食らってしまった。平岡は「個人的に言えばポジショニングに迷いが出てしまった」と猛省し「本当にもったいない失点」と唇をかみしめた。

 悔しい1敗。しかし、超攻撃的に仕掛け、局面を打開したのも事実である。敗れはしたが、光も見えた試合だった。【成田光季】