J2山形はアウェーで京都と対戦し2-3で逆転負けした。これで開幕6戦未勝利となり、単独最下位になった。開始2分にFW大黒将志(35)が古巣から先制点を奪うも、38分に追いつかれ前半ロスタイムに逆転を許した。2点差をつけられた後半29分、FW林陵平(29)がゴールを決め反撃したが、及ばなかった。

 山形にまだ桜は咲かなかった。逆転負けで最下位転落。初勝利を後押ししようと、遠く京都の地まで足を運んだサポーターは激高した。「コノヤロウ!」「もっとちゃんとやれ」。スコアは1点差だが、反省や課題ばかりが浮き彫りになった一戦。今季未勝利同士の対戦だったが、終始押され気味の展開が続いた。勝ち点1すらも持ち帰れず、選手らも落胆した表情を隠さなかった。

 「もっと点を取れれば良かった」。前所属チームを相手に先取点をもぎ取った大黒だったが、後悔ばかりが口をついた。「もっと良いプレーをしないと。もっと良い攻撃をして勝ちきらないと」。1-2のビハインドで迎えた後半スタートからMF川西に代わり、ピッチに立った林も同じだった。「同点までいけるチャンスはあった。勝たないと意味がない」と言葉を振り絞った。何とか1勝を挙げようと練習から選手間でのミーティングを重ね、改善してきたはずだった。

 故障者続出で苦しい台所事情なのが現実。そんな中でも「何とか1勝を挙げよう」(石崎監督)と新たなチャレンジにも手を打った。早い時間に林を投入し、東京V時代の2トップ(大黒&林)を再現。ドリブルに優れるMF汰木を加え攻撃を仕掛けた。後半29分の追加点は「蹴ったことない」という汰木のCKから林が押し込みネットを揺らした。

 開幕から6戦勝ちなしは06年の7戦未勝利以来。石崎監督は「もうひと工夫が必要で、もっと強気にやっていかないといけない」。大黒は「上に上がっていくだけです」と感情を押し殺すようだった。1つの白星で、状況は変わる。今はそう信じて戦い続ける。【成田光季】