電光石火の“柏木プレス”が堅守の大宮の守備ブロックをこじ開けた。

 前半44分。中盤での浦和ボールのリスタートは、大宮の選手に奪われた。しかし次の瞬間、浦和MF柏木陽介(28)がボールを奪い返した。

 ダイレクトパスを前方のMF武藤へ。相手DFに足を出されたが、勢いを落とさず前方に走っていた柏木は、こぼれ球を直接右足でシュートした。「左利きですけど、その割に右足もうまい方ですから(笑い)」。向かい風を突いて大宮GK加藤の頭上を抜き、ゴールネットを揺らした。

 この間、わずか3秒。その中で、冷静な判断も働いていた。シュートを打つ直前、柏木は走るコースを右方向に大きく変えた。「こぼれ球に右への回転がかかっていた。最初は武藤と挟み込んで、ボールを取りにいくつもりだったけど、右にこぼれるなら直接シュートやと」と振り返った。

 試合開始から、いつもよりも高くラインを保った大宮の堅守に手を焼いた。攻守の早い切り替えから、ボール再奪取を繰り返して相手を敵陣に押し込む「ミシャ・プレス」が、いつものようには機能しない。逆にカウンターから、大宮に決定機も許した。

 いやな展開だったが、この日は頼れる司令塔の動きが抜群だった。「早い攻守の切り替えとはこうだ」と周囲に範を示すようなプレーから、貴重な決勝弾。流れは変わり、チームは相手を押し込んだ。今季初の4連勝で、首位を守った。

 柏木は「今日は母の日。僕は母子家庭なので、この得点で育ててくれた母への感謝が伝われば」と話した。美しいカーネーションよりも鮮やかなゴールを、母にささげた。【塩畑大輔】