小野流「勝者の哲学」注入で首位を突っ走る。J2札幌MF小野伸二(36)が、首位再浮上から一夜明けた16日、追われる立場で必要なメンタリティーについて説いた。フェイエノールト時代のUEFA杯制覇など頂点を知るベテランは「いかに全員で勝ちたい気持ちを維持できるかが大事」と強調。主力、控え組問わず高い向上心を持ち続けていくことで、常勝ムードをつくっていく。

 貪欲に上を目指すため、天才小野の知恵と経験を生かす。水戸戦で5年ぶりの4連勝を果たして首位再浮上。ここからは、さらに白星を重ね、2位以下にプレッシャーを与えるための強みを発揮していく。

 まずは、精神面の絆を固めることを最優先事項に挙げた。「こういうときは、試合に出られない選手がマイナスの方向にいってしまうこともある。そういう選手が1人もいない状態に持って行けるようにしたい」。強い組織になればなるほど、ピッチに立つための壁は高くなる。当然、出場機会が減る選手もいるが、チームとして勝ちたいという純粋な思いを、全員が失わないよう日頃から気を配り声を掛け、まとめていく。

 今季31選手(2種登録のFW菅含む)中、出場経験者24人、先発経験者22人。小野も開幕戦以来、先発出場はない。だが、今は限られた時間の中でチームに貢献しようと献身的プレーを続けている。水戸戦の後半36分にはゴール前へのフリーランニングで相手DFを引きつけ、内村をフリーにし、決勝点をお膳立て。本来、主役を張れる男も、陰のプレーに精を出す。そういうムードを、自らも率先してつくることで、より強固な組織に進化させる。

 オーストラリア、ウエスタンシドニーでは、参入1年目のクラブを、Aリーグ制覇に導いた。「みんなが勝ちたいという気持ちで、まとまることが一番大事。それを続けること」。まだ1試合も出場できていない選手が7人いる。だが、誰もが全力で練習に臨み、主力メンバーに刺激を与え、結果的にチーム力につながっている。その存在を忘れず、31人がスクラム組んで突き進むことで、J2王者への道を切り開いていく。【永野高輔】