泥沼にはまった名古屋が小倉隆史監督(43)と心中する。残留を争う甲府にホームで1-3の惨敗。第1ステージ(S)の5月4日横浜戦で勝って以降、リーグ戦はクラブワースト記録を更新する13戦未勝利(5分け8敗)で第2S最下位に転落。年間順位もJ2降格圏の17位に低迷。新人監督の進退問題に発展してもおかしくないが、久米一正社長(60)は「絶対に(監督は)代えない」と何度も力説した。

 試合後はロッカー室に入って小倉監督本人に続投を伝えた久米社長は、自信を失った選手には「逃げるな、投げ出すな、あきらめるな。誰も助けてはくれない。プロは言い訳をするな」と“説教”した。さらに「私が先頭を切ってサポートする」と心中する覚悟を示し、J2降格した場合は「私が責任を取る」と説明。既にJ2C大阪のMF扇原らを獲得。追加補強はしないが、経験ある新コーチを招く方針だ。

 第2Sは5戦で1分け4敗。得点1、失点10と攻守とも歯車が合わない。試合後はサポーターが居残り「小倉を出せ」と罵声が飛んだ。小倉監督は「苦しい。この状況を今いる戦力で何かしら変えていく」と悔しそうにつぶやいた。GK楢崎は「(チームを)助けてやる力が足りなかった」。J2降格の経験がない名門が、危機的状況からはい上がれるか。その真価が問われる。【益子浩一】

 ◆オリジナル10 93年のJリーグ創設時から参加の名古屋が、クラブワーストの13戦勝ちなしでJ2降格圏の年間17位。J1での勝ちなし記録は10年湘南の21戦連続だが、「オリジナル10」で13戦以上未勝利は現在J2の千葉に次いで2チーム目。「オリジナル10」とは鹿島、浦和、市原(現千葉)、V川崎(現東京V)、横浜M(現横浜)、横浜F(99年に横浜Mと合併消滅)、清水、名古屋、G大阪、広島の10チームのこと。消滅した横浜Fを除いてJ2降格経験が1度もないのは鹿島、横浜、名古屋の3チーム。