鹿島に勝った! 仙台はアウェーで第1S王者の鹿島と対戦し、1-0で勝利した。前半35分にMF奥埜博亮(26)が値千金の“バックパス拾う弾”を決め先制。ミスターベガルタ「7」の虎の子の1点を守りきり、完封勝ちを収めた。これで引き分けを挟み3連勝で4戦不敗。年間でも9位へ順位も上げ目標のトップ5入りも見えてきた!

 暑さも疲れも吹っ飛ぶ大金星。鹿島戦のアウェー勝利は02年4月6日の2-0以来、実に14年4カ月ぶりのこと。その事実を「初めて知った。(試合前に)知らなくてよかったのかも」と苦笑したミスターベガルタ奥埜が、決勝ゴールを決めた。わずか1点のリード。しかしその後はどんな猛攻を受けようとも、全員で体を張って守りきり、完封勝ち。カシマサッカースタジアムでの未勝利を7で止め、歴史を動かした。

 “インザーギ流”で決勝点をかっさらった。前半35分。相手DFが仙台イレブンに背を向けて味方GKへバックパスしようとした瞬間だった。奥埜の脳裏にあの言葉がリプレーされた。前日に杉崎分析担当から言われた「こぼれ球やバックパスを拾って(元イタリア代表FW)インザーギみたいに決められるかも」。

 これだ! とゴール前へ一目散。パスをさらって一瞬で仕留めてみせた。「杉さんに言われたのを思い出したのもあるし、もしかしたらって気がして走ったら(ゴールが)取れた」。狙い通り、イメージ通りの一撃必殺だった。

 試合前、渡辺監督は選手らに2つの話をしていた。「3月12日という意義のある日に勝利したあの魂を再現しよう」「ちょうど1年前のアウェー鹿島戦で逆転負けを喫してから攻撃を考え直し、今のスタイルを築き上げたこと」。第1S王者相手に先制も、押し込まれ続けた。それでも、明暗分かれる2つの試合を思い出し、走り抜いた。

 14年前の鹿島戦白星の試合に出場していた指揮官は「私自身、歴史を見てきて楽な展開ではないと思っていたが、それを上回る気迫が選手たちに間違いなくあった」と目を細めた。奥埜は「予想外のゴールができてよかった。こういうプレーももっと見せて行けたら」と笑顔を見せた。【成田光季】