Jリーグ優勝賞金が10億円! 来季から1シーズン制に再移行予定のJリーグが、優勝クラブに10億円の傾斜配分金を支給することが9日、分かった。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)制覇に向けた布石で、20日の理事会で最終決定する見込み。来季から英国企業と結ぶ10年2100億円の放送権料が原資となる。J1の18クラブで分ける、傾斜配分金の総額は30億9000万円で、その3分の1が優勝チームに集中する仕組みとなる。

 アジア制覇へ、Jが優勝クラブに巨額投資する。Jリーグの近年の悩みは、ACL出場クラブの早期敗退。今季「絶対突破」をスローガンに掲げてアジアに挑んだが、G大阪と広島が1次リーグで敗退し、東京と浦和は16強で負け、すべてのクラブが8強前に姿を消した。

 5月にJクラブのACL敗退が決まった直後、原博実副チェアマンは「中国クラブにはブラジル代表クラスが3人所属していた。今後、放送権料などで資金が入れば、Jリーグ全体のレベルを上げてくれる大物外国人選手や世界的な名将を呼びたい」と話していた。

 今季の年間優勝の賞金は1億円。ステージ優勝と年間勝ち点の賞金を合わせると最大で2億8000万円。さらにJ1の各クラブに支給される固定配分金が約2億円になる。しかし来季は現行の設定をやめ、巨額の放送権料を土台に賞金は新基軸を打ち出す。観客数増員などの細かい条件はあるが、優勝チームの傾斜配分金が10億円程度で、固定配分金も3億5000万円に増額されることから、総額13億5000万円の軍資金を手にすることになる。

 Jは現在、指導者・選手育成、23歳以下世代の強化、スタジアム環境整備、各種規制緩和、クラブ支援など、より魅力あるリーグの実現に向け、議論を進めている。その象徴が「優勝賞金10億円」といえる。現在、金額の支給方法などを検討しており、節税対策として優勝賞金を3年に分けて支給するなど、最後の微調整を残すのみ。20日の理事会までにまとまれば、承認後最終決定となる。

 かつて世界トッププレーヤーでにぎわったJリーグ。ジーコ・イズムは鹿島躍進の屋台骨になり、ストイコビッチやドゥンガ、カレカらがJ発展に一役買った。ACL優勝は08年G大阪を最後に遠ざかる。頂点回帰へ、まずはトップクラブへの果敢な投資から着手する。

 ◆配分金 今季は、スカパー!の放送権料(年間31億円)などが原資となり、J1クラブへの固定配分金が約2億円。傾斜配分金はなく、優勝1億円に加え、ステージ優勝5000万円、年間勝ち点1位8000万円などが支払われる。巨額が入る来季は、J1クラブに一律支払われる固定配分金が3億5000万円に増える。さらに新設の傾斜配分金(総額30億9000万円)が年間順位や観客増員率などによってJ1全クラブに支払われ、トップは優勝クラブの10億円になる。

 ◆その他の大会、競技の優勝賞金 世界一の放送権料(3年1兆円超)を誇るプレミアリーグでは、昨季初優勝した岡崎のレスターが2480万ポンド(約34億7000万円)。日本の女子なでしこリーグ1部は1000万円。トーナメントでは欧州CLが1500万ユーロ(約17億2500万円)。準決勝までの賞金を加えた総額は5450万ユーロ(約62億6750万円)に達する。ACLは今季から300万ドル(約3億円)だ。

 プロ野球には優勝賞金がない。バスケットボールは例年300万円前後だったが、今季発足し、22日に開幕するBリーグで、川淵会長が大幅増額を示唆している。バレーボールのV・プレミアリーグはファイナルステージに勝つと1000万円。個人競技では、錦織が準決勝まで進出しているテニスの全米オープンが350万ドル(約3億5000万円)。