磐田はホームで湘南と0-0で引き分け、勝ち点1を手にした。J1残留争い中のライバルとの直接対決で、試合終盤には猛攻を仕掛けたが1点が遠かった。守備陣は負傷で主力を欠く中、10試合ぶりの無失点で連敗をストップ。年間順位13位は変わりないが、同16位名古屋が勝利したため、J2降格圏との勝ち点差は6に縮まった。

 うなだれる磐田の選手は、応援とブーイングの入り交じった声を耳にした。サポーターの思いも複雑だ。前節まで年間18位でJ2降格圏の湘南と勝ち点1を分け合った。連敗は止まった。だが、降格ライン16位名古屋との勝ち点差は6差に縮まった。名波浩監督(43)は「残留争いに両足を突っ込む形になった。さらにシビアな戦いが続いていく」と表情を引き締めた。

 ゴールが遠かった。後半43分にはMF川辺駿(21)のふわりと浮かせたクロスに、FWジェイ(34)がフリーで頭を合わせたが、湘南GK村山智彦(29)が好セーブ。3分後にはDF桜内渚(27)のロングスローから、こぼれ球をMF松浦拓弥(27)が強烈なシュートを放ったが、再びGKの好セーブに阻まれた。名波監督も「相手GKが乗っていた。褒めるべき」と苦笑するしかなかった。

 一方で守備陣は奮闘した。7月13日アウェー甲府戦(0-0)以来の無失点だった。試合2日前、最近の失点シーンを集めた映像を見て、全員で理解を深めていた。直近リーグ戦8試合で試合開始から後半15分までに失点していたが、この日は一瞬も集中力を切らさなかった。守備の要、DF大井健太郎(32)とDFパパドプーロス(31)を欠く中、甲府戦以来の4バックシステムが機能した。

 J1で200試合出場を達成したDF藤田義明(33)は「最後まで守れたことは良かった」。指揮官も「守備はまとまっていた」と言った。だが、得点しなければ勝ち点3は奪えない。次節は新潟と対し、その次は名古屋と戦う。絶対に負けられない状況だ。【保坂恭子】