15日にYBCルヴァン杯決勝G大阪戦を控える浦和の主将、MF阿部勇樹(35)が肋骨(ろっこつ)を骨折していることが11日、分かった。

 この日チームはランニングやサーキットトレーニング中心の軽めのメニューだったため、阿部も大半のメニューをこなした。しかし9日の東京とのルヴァン杯準決勝第2戦はベンチに入ったものの出場せず。事前の練習でも、3日間別メニュー調整だった。

 長めにストレッチを行い、最後に練習場から引き揚げてきた阿部は「たぶんもう大丈夫。ただ最初はきつかった」と明かした。負傷したのは1日のリーグG大阪戦。後半9分、ドリブルするG大阪MF遠藤からきれいにボールを奪った直後、後ろから倒された。

 ピッチに転がった阿部は、わき腹をおさえて打ち回った。リプレー映像には倒れた瞬間、遠藤の右足キックを背中にまともに受けている様子が映っていた。

 試合は後半14分、G大阪FWアデミウソンが浦和DF槙野への「乱暴な行為」で退場処分。同30分にも、G大阪MF倉田が槙野の背中を故意に踏みつけたようにみえる場面があった。荒れた展開になったが、阿部はわき腹の激しい痛みをこらえて身体を張り続け、チームを4-0の圧勝に導いた。

 阿部はさらに5日、東京とのルヴァン杯準決勝第1戦でもフル出場。しかしその試合後、メディカルスタッフに促されて検査を受けると、右のろっ骨が折れていることが判明した。

 「東京との試合が痛みのピーク。でもいつもそうですけど、痛みに慣れたので何とかやれた。アドレナリンとかも出るんで」

 15日のルヴァン杯決勝は、くしくも遠藤がいるG大阪との対戦になった。昨季はリーグチャンピオンシップ準決勝、そして天皇杯決勝と、タイトルをかけた一発勝負で連敗した因縁の相手。骨折が完治したわけではない阿部だが、先発復帰し主将としてチームを引っ張るつもりだ。

 東京戦では軽くボールを蹴っただけで、患部に響いて痛みが生じたほど。並の人間なら、接触プレーに強い恐怖を覚えるところだが、阿部は「怖さはないですよ。だってもう折れちゃってるからね。それ以上はないでしょう」と事もなげに言う。

 「そんなことよりも、次の試合はいかに普段通りできるか。4-0で勝ったリーグ戦では、規律も守ってチームとしていい戦いができた。今回もそうありたい。大舞台だからといって、普段より目立ちたがるようなヤツがいたら、本気で叱りつけてやりますよ」

 そして去り際に、もう一言付け加えた。

 「ろっ骨のリベンジもしないとね。じゃないと、ろっ骨も納得してくれないでしょう」。