元日本代表監督で、日本協会副会長の岡田武史氏(60)がオーナーを務めるFC今治(四国)が、目標のJFL昇格を決めた。第1試合でヴィアティン三重(全国社会人選手権3位)に3-0で快勝。開幕2連勝で首位に立つと、続く第2試合で鈴鹿アンリミテッドFC(全社2位)が三菱水島FC(全社1位)に3-0で勝利。この結果、最終日に今治と勝ち点6で並べるチームが三重か鈴鹿の一方だけに絞られ、JFL昇格の成績要件だった今治の2位以内が確定した。12月7日のJFL理事会で承認されて、正式決定となる。

 岡田氏は、三重戦にチーフ・メソッド・オフィサー(CMO)としてベンチ入り。かつてU-17(17歳以下)日本代表を率いた吉武博文監督(57)とともに、どっしり腰掛けて戦況を見守った。冷静に努めつつも時折、席を立って吉武監督と選手交代に関して意見交換。ハーフタイムにはベンチで前半戦のデータを確認した。三重には1次Rの最終日に敗戦(0-3)しており、リベンジを果たすため2人の知恵を結集した。

 初戦の鈴鹿アンリミテッドFC(全社2位)戦を2-1で制した今治は、この日も先手を取った。前半31分、MF上村岬(25)のFKにDF中野圭(28)が頭で合わせてゴールに押し込んだ。前半終了間際に相手DFに退場者が出て、さらに優位に進めた。後半5分には、こぼれ球を拾ったMF桑島良汰(24)が左足でシュート。DFに当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれた。桑島は初戦で2得点しており、2戦連発の3点目をマーク。29分には中野がPKを決めてリードを3点に広げた。2週間前に0-3で敗れた三重に、同じスコアで借りを返した。勝利の笛が鳴ると、岡田氏はコーチ、ベンチの選手と握手をかわしてロッカールームへ引きあげた。

 第1試合の後、岡田CMOと吉武監督は「まだ何も決まったわけじゃない」と引き締め、第2試合をスタンドで見守った。鈴鹿が勝って、JFL昇格が決まると一安心。来季は全国リーグで新たな挑戦を始める。

 2位以内確定=昇格決定後の岡田オーナー「ホッとしています。すぐJFLに向けて経営や体制、補強や強化に力を入れたい。できれば、来年(JFLの1カテゴリー上の)J3へ一気に上がりたい。1年目の去年は昇格を逃したけど、よそから来てパッと上がっていたら、今治、東予の方々に支持されなかったかもしれない。2年目で上がるのは、いいタイミングだったと思う。今はグレーに近い会社なのでホワイトにもしていく(笑い)。今年はCMOとしてベンチ入りしたが、ここ(全国地域CL)が勝負どころだった。ここを乗り越えれば、ベンチなんか入る気持ちはない」。