Jリーグ王者として開催国枠で初出場の鹿島が、アフリカ代表マメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)に2-0で勝ち、昨年の広島に続く日本勢2年連続4強入りを決めた。前半はシュート0本だったが、09年にリーグ史上初の3連覇を経験したMF遠藤康(28)が左足で先制点を奪い、途中出場のFW金崎夢生(27)が加点した。14日の準決勝で南米代表のナシオナル・メデジン(コロンビア)と対戦する。

 遠藤の左足がチームを救った。後半8分にチーム初シュートを放って重苦しい展開を動かすと、10分後だ。FW赤崎の右クロスを中央でFW土居が頭で折り返した先に、遠藤が走り込んでいた。迷いなく左足を振り抜いた一撃は、GKの手をはじき、先制のネットを揺らした。「チャンスは来ると思って信じていた。当たり損ねで、やべっと思ったけれど良い時間帯で入れられた」。拳を握りしめ、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 守備陣のミスをカバーしたのは、37歳のGK曽ケ端だ。MFモレナのシュートを右手1本で防ぐなど、3度の決定機をことごとくファインセーブ。大量失点してもおかしくなかったが「GKの仕事。難しい試合を経験できたことは、チームの今後にプラスになる」と冷静だった。

 ハーフタイムに仲間に活を入れたのは、先発を外れたMF小笠原だった。ふがいない内容に「もっと上の相手とやりたいだろう。Jリーグの代表、鹿島みんなの代表で出ているんだから、もっと出来るだろう」。荒らげた声がロッカールームに響いた。遠藤は「みんなこれで目が覚めた」と感謝した。遠藤、曽ケ端、小笠原。09年に史上初のリーグ3連覇を経験したベテラン3人が、プレーと言葉で勝ちにこだわる姿勢をチームに思い起こさせ、世界の4強まで押し上げた。

 大会最終日の18日まで、さらにもう2試合戦える権利も得た。次は南米王者に挑む。8月のスルガ銀行杯で同じコロンビアのサンタフェに敗れた雪辱戦でもある。石井監督は「南米には試合に勝つ賢さがあるチームが多い」。だが、鹿島にも国内18冠を達成してきた勝つ「イズム」が備わっている。最低目標に掲げていたアジア勢初の決勝進出に王手をかけた。【鎌田直秀】