札幌は今日21日、沖縄国際大とキャンプ地の沖縄・金武町陸上競技場で今季初実戦を行う。練習試合を翌日に控えた沖縄1次合宿5日目の20日、9対9など、より実戦に近い形式の練習を敢行。横浜から移籍したMF兵藤慎剛(31)が、豊富な運動量に裏打ちされた軽快な動きを攻守で披露し、レギュラー奪取へ猛アピールした。練習試合は30分×2本の予定で午前11時キックオフ。

 とにかく、よく動く。横浜から移籍した兵藤のスタミナは、無尽蔵だ。守備で奪ったボールを素早く縦に展開。あっという間に攻撃に転じ、正確なクロスを味方へ配球した。

 キャンプ初日の体力測定で明らかになった、移籍組6人の豊富な運動量。中でも、四方田修平監督(43)が真っ先に名前を挙げたのが、兵藤だった。名門国見(長崎)を経て、早大卒業後は横浜一筋。「ベースは高校時代。僕らより上の世代はもっと走ったと思いますが、とにかく走り込みが多かった」。週に1度の走り込みで、1000メートルを6本。鍛えられた脚力と心肺機能を支えに、横浜入団後も一線で活躍してきた。

 愛着も誇りもあったトリコロールを脱ぎ、今季は赤黒のユニホームで勝負する。12年をピークに、年々出場機会が減り、昨季の出場は18試合。「何かを変えないといけない。プロ10年目を迎えるにあたって自分を見つめた時、札幌なら勢いもあるし、自分もチームと一緒に成長していけると感じた」。まだ働き盛り。くすぶっていた思いに決別し、再出発を決めた。

 中盤から前まで、高いレベルでこなすユーティリティー。兵藤が加わったことで、戦術の幅はぐっと広がりそうだ。J1ではリーグ戦通算268試合に出場。「前の方で自分の良さを出したい気持ちはあるけど、人との絡みが得意なので、人を使ったり、人に使われたりという持ち味を出せたら」。背番号6が生み出す調和が、札幌をさらに強くする。【中島宙恵】

 ◆兵藤慎剛(ひょうどう・しんごう)1985年(昭60)7月29日、長崎県生まれ。国見高2年時に全日本ユース制覇、3年時に総体、全国高校選手権の2冠を達成。早大では2年時に日本代表としてユニバーシアード金メダル、4年時全日本大学選手権優勝、同MVPを受賞した。08年に横浜入りし、同年4月2日東京戦でデビュー。昨季までの9年間でリーグ戦268試合出場、32得点。身長172センチ、体重68キロ。血液型B。