東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(59)が、大分トリニータとのホーム開幕戦に勝利後、監督会見に臨んだ。

 待望の今季初勝利にも笑顔はなく、攻守に課題を口にした。一方で、19歳のMF井上潮音を「僕たちにとってのメッシ」と評価するなど、1月12日の始動から約2カ月で選手の見極めが進んでいることをのぞかせた。ロティーナ監督の会見の、主な一問一答は以下の通り。

 試合の総括 前半は、いいプレーが出来ていたが、互角だった。後半の初めに、相手に2回チャンスが訪れ、こちらは3回チャンスを作った。その後は相手にゲームを支配された。僕たちが引き過ぎていて、いい守備が出来ていなかったと思う。ファウルも多かった。いいプレーをする相手に勝てた、という印象です。

 -前半、大分の良さを消していたように見えた。ゲームのポイントは、どこにあると考えて臨んだのか

 攻撃は、よくトレーニングされてオートマティズムがあり、スピードのある選手が多いチームでした。ライン間でボールを受ける選手が多いので、うちがパスコースを締めて、スライドをしっかりして守備をすることを強調していました。

 -後半、井上選手からMF橋本英郎選手に替えた。その効果は?

 潮音が筋肉系の違和感を持っていたので替えました。潮音は僕たちにとってのメッシ…いつもいいプレーをしてくれる、僕たちにとって、とても重要な選手です。ハシ(橋本)は、すごい経験を持った選手で、今日もいいプレーをしてくれたと思います。(ダブルボランチは)潮音とウチ(内田達也)がファーストチョイス。彼らには若さというアドバンテージもある。ただ、ハシも、すごいいいプレーヤーだと思っていて、重要な選手になってくることは間違いない。

 -今季初勝利だが、簡単な試合ではなかった。1月の始動から、初勝利までの道のり、現状について、率直な思いを語ってください

 守備面は悪くないと思います。(開幕からの)2試合で1失点…それは、すごい重要なことです。でも攻撃が1点しか取れていないのは、良くないこと。先週の後半と今週の前半は、いいプレーが出来ていたと思います。僕らのこれからの考えは、守備面は同じアイデアで向上していくこと。攻撃についても、ゴールの可能性は高くなってきていると思う。今までは45分しか、いいプレーが出来ていない。それを90分間、出来るように来週からどうなるか見ていきたいし、向上していきたいと思う。

 始動日から攻守に戦術練習を徹底する、スペイン流を徹底したロティーナ監督。大分戦では、守備面では3バックと両サイドMFが連動、スライドし、特に前半は相手の攻撃の芽を摘んだ。昨年、課題だった組織的守備の形が見えつつある一方で、監督が指摘するように後半の45分間は、大分の攻勢を受け、特に終盤は防戦一方となった。スペインリーグで20年指揮を執った、知将の改革は、まだまだ続く。【村上幸将】