<J1:浦和3-0新潟>◇第3節◇30日◇埼玉

 ボランチで先発した浦和DF田中マルクス闘莉王(26)が、チームに今季初勝利をもたらした。30日の新潟戦で、プロ入り後初めて中盤の底で先発した。ゲルト・エンゲルス監督(50)の思い切った起用に応えて攻守に奮闘し、後半開始直後には2点目となるゴールを豪快にたたき込んだ。12日に左太もも肉離れで戦列を離れ、4試合ぶりに復帰。今季開幕から公式戦4戦勝ちなしだったアジア王者に、リーグ戦では昨季から8試合ぶりとなる白星をもたらした。

 試合開始の笛がなると、闘莉王がスルスルと前へ上がっていく。そして本来の位置よりも、1つ前に入った。「高校以来」というボランチで、前半開始早々からその役割を十二分に発揮。同1分に右サイドに展開し、同3分にはFWエジミウソンにスルーパスを送った。同25分には自ら左足でミドルシュートを放った。

 1-0で迎えた後半開始からわずか35秒だった。FW永井からのボールを、FWエジミウソンとのワンツーで抜けると右足一閃(いっせん)。ゴール左上に突き刺した。リーグ戦では昨季8月11日柏戦以来のゴール。ゴール裏サポーターに向け、胸のエンブレムを握りしめ「どうだ!」と言わんばかりにたたいた。

 ぶっつけ本番のボランチだった。実戦でやったのは金曜日の10分2本の紅白戦のみ。「バランス。僕だけ出ないように、後ろでバランスをとるようにした」。むやみに攻撃に参加することなく、自陣では2タッチ以下でプレー。リスクを避けた。守備でもロングボールは頭ではね返し、相手の攻撃の芽を摘んだ。主将のMF山田も「中盤で頭ではね返して、いいリズムが生まれた」と絶賛した。

 前体制では攻撃参加を許されなかった。

 闘莉王

 ばかみたいに攻めているわけではない。(前監督には)試す前から拒否されて理解できなかった。ゲルトさん(エンゲルス監督)は気を持たすこと言ってくれた。攻撃参加も組み立ても好きなようにしろと。でも本職は守備。守備をやらないと。勝つのは大変。一丸にならないと弱いということが分かった。

 左太もも裏の肉離れで戦列から離脱した。チームが20日の神戸戦で負けると、翌日に京都戦(23日)の出場を直訴。同監督に「リーグ戦のことを考えてくれ」と諭され、この日に合わせてきた。期待に応えるために勝ちたかった。昨季当たり前のように勝ち星を積み重ねていたが、今季は開幕連敗、監督交代。1歩目を踏み出せなかったレッズがいよいよ動きだした。【栗田成芳】