<J1:G大阪2-0清水>◇第5節◇5日◇万博

 G大阪がゲーム主将のDF山口智(29)の攻守にわたる活躍で清水を2-0で破り、3連勝を飾った。前半36分、ヘディングで先制ゴールを決めた山口は、守りで今季初の完封勝ちにも貢献。かつてDF宮本恒靖(31=現ザルツブルク)がつけた背番号「5」を託されたリーダーが、チームを暫定3位に浮上させた。鹿島は千葉を4-1で破ってリーグ連勝を「14」に伸ばし、首位キープ。浦和はFWに入った闘莉王の決勝弾で磐田を下し、3連勝を飾った。

 得意のヘディングで均衡を破った。0-0の前半36分、山口が遠藤のCKに頭から突っ込んだ。貴重な先制ゴールで主導権をたぐり寄せると、守備でも魅せた。DFラインを統率し、今季初の完封勝ち。「ある程度試合が落ち着いてからは(清水の攻撃は)怖くなかった。3連勝は素直にうれしい」。ゲーム主将の声が弾んだ。

 大きな重圧と向き合うシーズンだ。オフの1月初旬、携帯が鳴った。西野監督だった。「今年こそ5番をつけてくれないと困るぞ」と迫られた。クラブの看板だった宮本が06年までつけていた背番号。一時は「欠番」すら検討された。宮本が退団した昨年オフも要請されたが「重みがある番号なので…」と断った。だが、今度は「監督の声で断れない空気を感じた」。腹をくくった。押し切られるように、愛着ある「6」を捨て「ポスト・ツネ様」を受け入れた。

 06年にG大阪のゲーム主将に就任したが、当時は宮本がいた。気を使いすぎて、選手ミーティングの招集もできなかった。だが、今季は積極的に動く。3月15日磐田戦に0-3で完敗し、1分け1敗。帰途についた新幹線のホームで、チームを代表して西野監督に「今のままではうまくいかない」と直訴すると「いろいろ試す時期。我慢してくれ」と肩をたたかれた。山口がパイプ役となり、チームに不協和音も起こらず、その後は3連勝だ。

 3年ぶりのV奪還に向け、首位鹿島とは勝ち点5差。独走を許すわけにはいかない。今季最高の暫定3位に浮上した。「僕らもついていかないといけない」-。かつての宮本のような風格が漂ってきた「背番号5」とともに、G大阪の歩みは力強くなってきた。【北村泰彦】