<J1:大分3-1新潟>◇第10節◇3日◇九石ド

 押しつぶされそうなプレッシャーに勝った。4月29日の東京戦後、主審の暴言問題の渦中にあった大分DF上本大海(25)が勝利の味をかみしめた。前半30分に日本代表候補の新潟FW矢野のシュートをスライディングで防ぐなど、後半26分に負傷交代するまで無失点に貢献。ベンチで勝利を見届けると、大きな「大海コール」を送り続けたサポーターの前に向かった。「(コールは)うれしかった。勝てて良かった」。騒動から5日目。緊張し続けていた表情がやっと緩んだ。

 ピッチに立つまで不安だった。前夜に宿舎で溝畑社長からJリーグが出した結論は聞いた。自らの主張が否定されなかったことで、納得はしていた。だが、これまでにないほど注目されることが、重圧となってのしかかった。控室で「大丈夫か」と、声をかけたMF鈴木副主将に返した言葉は「ヤバイです」。

 しかし鈴木の「(ピッチも騒動も)大海1人で戦っているんじゃない。チーム全体で戦っているんだ。それをグラウンドの上で見せよう」という言葉に、後押しされピッチへ。試合開始直後に、新潟MF寺川のシュートをブロック。前線に跳ね返ったボールを拾いそのままゴールに駆け上がる上本の戦う姿に、チームも今季リーグ戦最多3得点で応えた。

 「今日の得点は僕にとっても、チームにとっても特別でした。これからも先に試合があるので頑張ります」。騒動をきっちり乗り越えてみせた上本の視線は、すでに次の試合に向かっていた。【村田義治】