ブラジル人らしくないブラジル人FW!?

 コンサドーレ札幌のJ1残留の切り札としてブラジル人FWアンデルソン・ルイス(30)が、この中断期間中に加入した。まだ公式戦には出場しておらず、その実力はベールに包まれたままだ。しかし、練習生として先月22日からチームに合流しているだけに、チームメートがアンデルソンの特徴について知っているはず。今回の「コンサにズームアップ」では周囲の選手の声を集め、その実力を分析してみた。

 全容が明らかになっていないアンデルソンのプレースタイルを証言とともに積み上げてみた。

 (1)シュート力

 GK高木はこう証言する。「シュートは強めで速い。どこからでも打てるし、ゴールの枠に飛んでくる。1対1などは確実に決めるし、1点を大事に取っていく感じ。ウチの得点力は増す」。

 (2)突破力

 DF陣の坪内は「ダビのように(突破していく)タイプではない。ドリブルもうまいがどちらかというなら犠牲になってダビを生かすプレーを重視するのでは」と分析。「逆にどっしりとしている」(MF鄭)という意見も。

 (3)パスの精度

 柔らかいパスは首脳陣の評価も高い。一方でMF砂川は「パスというよりも、トラップが正確。そのため余裕を持って正確なパスが出せると思う」。ストライカーだけではなく、パスの出し手にもなれるとあれば、おのずと攻撃のバリエーションは増えそうだ。

 (4)高さ

 187センチと長身でポストプレーも期待大。ただし、“空中戦”をリードするDF柴田は「売りは高さより強さ。懐が深いキープ力が特長なのでは」と「高さ」よりも「深さ」を強調した。

 (5)フィジカルの強さ

 細く見えるが「脱いだらガッシリとしている」(DF柴田)。DF吉弘も「マッチアップする機会が多いのですが、体が強くてボールが収まる。相手なら嫌だ」と話す。来日して1週間はスタミナ切れがひどく、首脳陣の間でも心配されたが、改善されてきた。

 (6)戦術理解度

 分析担当の沖田コーチは「まだ(前線への)上がりなどチームの戦術はまだまだだが、時間があるし心配していない。ダビとも話し合いを常に持っているし、コミュニケーションの仕方は欧州的」と言う。

 プレースタイルではなく、性格面も「まじめ」「努力家」「頭脳派」といった意見が多かった。「楽天的」で「天才肌」というブラジル人の典型的なイメージとは違う。坪内は名古屋のノルウェー人FWヨンセンを、鄭は元名古屋でオーストリア代表のFWバスティッチを似ている選手として挙げた。どちらにしても欧州的なFWというのがアンデルソンの評価のようだ。【上野耕太郎】