Jリーグは15日、都内で理事会を開き、昨年5月に川崎FのFW我那覇和樹(27)にドーピング禁止規定違反として出場停止処分を下した(5月30日付で削除)際、所属する川崎Fに科した制裁金1000万円について、ドーピング撲滅に向けての啓蒙(けいもう)活動に活用することを決めた。スポーツ仲裁裁判所(CAS)が5月28日に同選手に対する処分を無効とする裁定を出したことを受け、川崎Fから制裁金の返還を求める要望書が出されていた。

 鬼武健二チェアマン(68)は川崎Fの監督不行き届きを指摘した上で「返還はしません。川崎Fからの要望書に、このお金を使って(クラブとして)啓蒙、撲滅活動をしたいとあり、そういう結論に達した」と説明。小冊子をつくったり、専門家を招くなど、1000万円に自己負担金をプラスして、Jリーグとして積極的にドーピング問題に取り組んでいくという。会見に同席した川崎F武田社長も「1000万円を我々が考えていたドーピング撲滅へふり向けていただける。この決定に従って一緒に撲滅活動をしていきたい」と話した。

 また、鬼武チェアマンはこの問題での責任の所在について言及。堀田裁定委員長に指示を仰ぎ「Jリーグ規定にあいまいな点があったこと、同選手への処分決定前後にもう1度、検討すべき時間があった。トップとして責任をとるべき」(鬼武チェアマン)と、自らをけん責処分とした。