<J1:浦和2-2柏>◇第20節◇9日◇埼玉

 浦和が座りかけていた首位の座から、残りわずか30秒で滑り落ちた。ホームでの柏戦で1-1の場面から、後半ロスタイムに1度は勝ち越しながらも、再び同点弾を許し、2-2の痛恨のドローとなった。千葉に1-3で敗れた首位鹿島に代わり、首位再浮上の絶好機を逃した。左足首痛のため、FW田中達の欠場が試合開始直前に決まるなどアクシデントも重なり、チームはこれで3戦白星なしとなった。

 首位再浮上が、一瞬で泡へと消えた。試合終了の笛が鳴ると、DF坪井はひざをついてぼうぜんとし、いったんは勝ち越し弾を決めたFW永井は、鬼の形相で無言のまま帰りのバスに乗り込んだ。

 1-1のまま後半ロスタイムに突入した直後。FW高原とワンツーで相手GKと1対1になった永井が、冷静にゴール右に流し込んだ。開始時間が30分早かった首位鹿島はすでに千葉に敗れていたため、この瞬間、首位の座にとって代わった。

 だが、表示されたロスタイム4分が経過する直前。クリアミスを拾われ、柏FWフランサにシュートを浴びる。ボールは右ポストに当たりながらゴールに吸い込まれた。敵陣地で時間を稼ぎながらつかみかけていた勝利が、するりと手から逃げていった。「あそこであと30秒守るのがプロフェッショナル」。エンゲルス監督は、勝ち点3が幻と消えたことを悔やんだ。

 試合開始直前から不穏だった。先発メンバーとして発表されたFW田中達が、試合前アップで左足首痛を訴え、急きょ欠場した。前日練習で痛め、「アップで(大丈夫かどうか)試したが、ゲームが始まってからチームに迷惑をかけたくなかった」と話した。前半34分、1-1に追いつくゴールを決めたMF阿部も「最後のホイッスルが鳴るまで集中を切らしてはいけないということ」。今季5得点目を素直に喜べなかった。チームはこれで3戦連続勝ち星なし。鹿島との勝ち点差を1に縮めたが、悔いの残るドローとなった。【栗田成芳】