コンサドーレ札幌を運営する北海道フットボールクラブ(HFC)の矢萩竹美社長(58)が、三浦俊也監督(45)との心中?

 を決めた。前節17日の京都戦でチームは最下位に転落したが、残り13試合の結果がどうなろうと、三浦監督を途中解任せず最後まで指揮を任せる方針を22日までに固めた。逆の意味でいえば指揮官の退路を断った格好で、クラブとしては補強や特別強化費の捻出(ねんしゅつ)などで支援する。

 最下位に陥落しても、三浦監督への信頼は変わらなかった。矢萩社長は、監督更迭の考えがないことを、あらためて明言した。

 矢萩社長

 今季の試合を三浦監督にお任せするという気持ちは、私の社長就任から1カ月以上が経たが、まったく変わっていない。最下位?

 監督の能力や戦術だけの問題ではない。昨季の実績も含めて高く評価している。

 残り13試合、三浦監督と心中する構えだ。現在3連敗中と結果が出ていないが、フロント側はチーム状況は今が「底」とみている。「主力組のけが人も曽田、宮沢くらいで大塚らも戻ってきた。中断期間の箕輪、アンデルソンの補強も当たった。好転する材料はある。」と矢萩社長は話し、三浦政権での巻き返しに期待する。

 札幌では過去にシーズン途中の解任劇が3度あった。いずれもJ1(または前身のJリーグ)で、98年には、フェルナンデス監督が成績低迷と金銭問題など契約のもつれから10月に解任され、ヘッドコーチだった石井肇氏が指揮を執った。02年にはリーグ戦1勝6敗と不振の柱谷哲二を6月に解任し、後任にイバンチェビッチ氏を招へい。しかし、イバンチェビッチ氏もチームを立て直せず、9月にはやはり解任された。いずれも効果があったとはいえなず、監督解任のあった98年、02年ともにJ2に降格した。

 プロ意識の強い三浦監督に、腹をくくらせる発言でもある。クラブ側が解任の可能性を完全否定することで、今後成績が低迷した場合、三浦監督からも辞任しづらい。残留の可能性がゼロになるまで、あきらめない、ギリギリの采配が続くはずだ。矢萩社長は「監督交代が必ずしも成功するかといえば、疑問が残る」と過去の例も考慮して判断したという。

 クラブの長期経営計画でも、来季のJ1残留は条件となる。フロント、現場が意思疎通し、迷いを消すことで、残留という実を収穫する。