コンサドーレ札幌のFWダビ(24)が電撃移籍することが25日、決定的になった。この日、移籍交渉のため、札幌・宮の沢で行われた練習を欠席した。国内外のチームから興味を示されているが、カタールリーグのアルサードが有力視される。クラブ側は史上最高の移籍金約3億円を提示した見込み。現在、金銭面など最終交渉の段階に入っており、早ければ次節ホーム東京戦(28日)前に退団が発表される。J1残留をかけた最終局面で、チームはリーグ得点ランク2位の12得点を稼ぐエースを失うことになる。

 エースの姿は札幌になかった。ダビは東京戦を3日後に控えた25日、札幌・宮の沢での練習を欠席。事前にチームに連絡を入れていたが、その理由が驚きだった。三上大勝強化部長(37)は「オファーを受け、(相手クラブとの)交渉に入るため、チームを離れる。(東京戦前に)はっきりする」と事情を説明した。チームがJ1残留をかけた必死の戦いを繰り広げる中、ダビは移籍を模索していた。

 ダビは前夜24日に代理人とともに、札幌市内のクラブ事務所を訪問。三上強化部長と移籍交渉を行っていた。すでに本人の移籍への意志は固く、同強化部長は「本人は(移籍へ)ポジティブだと思います」と話した。普段の面談でも「チャンスがあれば、上でやりたい」と上昇志向も強く、退団は決定的だ。

 移籍先は中東のクラブの名前が挙がっている。国内ではJ1数クラブからも興味を示されていたが、移籍期限がすぎていることから今季プレーできず、ダビ側も海外を中心に移籍先を探していた。その中で元札幌FWエメルソンらが所属するカタールの強豪アルサードが有力視される。

 札幌はダビと複数年契約を結んでいたが、他チームからのオファーを予想し、シーズン途中の移籍について、多額の違約金が発生することを契約条項に盛り込んでいた。そのため、クラブ史上最高の移籍金約3億円を提示したもようだが、中東のクラブはオイルマネーで潤沢な資金を持つことから、引き留めは厳しい状況だ。早ければ28日のホーム東京戦前にも退団が決まる。

 山瀬、今野、エメルソン、ウィルらの主力放出という負の歴史がまた繰り返される。三浦監督は「正式に決まってから話せると思うので何とも言えない」と驚きを隠せなかった。ケガで今季公式戦出場が絶望的なDF箕輪に続き、攻撃のかなめも失い、ただでさえ苦しいJ1残留がさらに難しくなった。