<J1:鹿島0-0新潟>◇第31節◇9日◇カシマ

 首位鹿島に急ブレーキがかかった。ホームで下位の新潟に0-0の引き分けどまり、前節東京に敗れたのに続いて、2位以下を突き放せない。終了間際にはMFダニーロが右ひざを負傷し、今季の復帰は絶望に。首位の座は守ったが、混戦に拍車をかけ、残り3節で勝ち点3差以内に6チームがひしめく状態を招いた。J1残留争いも降格確定の最下位札幌を除き、17位千葉から勝ち点5差以内に7チームとし烈さを増した。

 闘志を出しても、勝利はついてこなかった。2日の天皇杯国士舘大戦での苦戦を教訓に、セカンドボールにも体ごと食らい付く。前半14分にも、MF青木が30メートルの疾走でこぼれ球を拾った。決定機もあった。後半32分にスルーパスに抜けたFW興梠が相手GKと1対1になったが、シュートははじかれた。興梠は「あそこで決めれば勝てた」と悔しさをにじませた。

 前節東京戦で公式戦8戦ぶりの黒星を喫し、首位から勝ち点3差以内に5チームが混在。この日のドローでさらに東京が加わり6チームとなった。DF新井場は「向こうもこっちくらい必死。2-0、3-0の試合にはならない」と、残留争いの中にいる相手との戦いにくさを感じた。

 V戦線終盤での取りこぼしも痛ければ、主軸の離脱も痛い。最後のプレーでクロスを上げたMFダニーロが、右ひざを負傷した。チームドクターによれば、右ひざ外側半月板損傷。10日に検査を受けるが、最短でも全治に2カ月を要し、今季絶望になった。

 ダニーロは今季28戦で4得点、チームトップの7アシストを記録する大黒柱の1人だ。MF小笠原が左ひざの負傷で離脱して以来、MF中後らの奮闘でカバーしてきたが、さらに戦力ダウンする。鈴木満強化部長は「中盤のクオリティーが落ちている。(運動)量はあるが質がない。満男(小笠原)が抜けたのがジワリときている」と中盤の力の低下を憂慮した。

 残り3戦で次戦大分、最終節札幌と新潟のような堅守速攻タイプとの対戦を残す。DF岩政は「うちはボールを持つ選手が多いから、相性はよくないかもしれない」と明かす。昨季はシーズン終盤に驚異的な強さを発揮し、劇的な逆転優勝を飾った鹿島が、「追撃者」たちの影に脅かされるかのように、足踏みを重ねた。【広重竜太郎】