浦和が来季の監督就任が決定的になっているドイツ2部フライブルク元監督フォルカー・フィンケ氏(60)と2年以上の契約を結びたい意向であることが24日、分かった。来季、ユースから昇格する期待の新人4選手らの育成を託すためで、正式オファーの際には複数年契約を提示する方針だ。クラブ側の意向を伝えられている同氏はこの日、浦和ユースの公式戦を視察し、来季トップチームに昇格する選手をチェックした。

 ユース昇格組の育成も託すため、浦和はフィンケ氏に長期指導を要請する。今年の全日本ユースを制覇した浦和ユースからMF山田直輝(18)、MF高橋峻希(18)、MF浜田水輝(18)、DF永田拓也(18)の4選手が来季、トップに昇格する。将来の主力に期待される選手が加入することを受け、クラブ幹部は「(フィンケ氏に)ユース組が2~3年後、トップの主軸となるように育ててほしい。長く指導をお願いしたい」と説明。正式オファー時に2年以上の長期契約を提示する方針を明かした。

 浦和は03年以降、三都主、闘莉王、阿部、高原ら積極的な大型補強でチーム力を上げてきた。その一方でジュニア育成を目的に下部組織の改革にも着手し、03年に設立した浦和アカデミー1期生が山田直、高橋の世代にあたる。同幹部は「何としても彼らをチームの主力に育てたい。それが浦和のカラーになる」と強調。ライバルG大阪はユース出身者が常に3~4人ベンチ入りし、先発にも数人が名を連ねるが、現在の浦和はエスクデロ以外は、シーズンを通じてユース出身者のベンチ入りは1~2人。補強と並行して「ドイツのオシム」とも評されるフィンケ氏がユース組を育成することは、さらなる強化につながるのは間違いない。

 既に浦和サイドの意向を伝え聞いているフィンケ氏も異例の視察を敢行した。24日に等々力競技場で行われたJユース杯の川崎Fユース-浦和ユース戦に足を運び先発した浜田、永田らをチェック。気温9・1度の中、浦和がボールを保持すると、身を乗り出しながらプレーを目で追った。

 ハーフタイムには浦和の中村強化本部長と握手を交わした。試合後は「申し訳ないが、まだコメントしないことになっている」と足早に会場を去ったが、ユース視察に満足した様子だった。23日清水戦で惜敗し、今季リーグ制覇が非常に厳しい状況となった浦和だが、来季に向けてしっかりと手を打っている。