元日本代表の「野人」浦和MF岡野雅行(36)が戦力外通告を受けたことが26日、発表された。若手育成を掲げる来季のクラブ構想から外れたもので、同じく戦力外になったMF内舘秀樹(34)とともに、さいたま市内で会見。岡野はJ1、J2にこだわらず、現役を続行する強い意欲を示した。また、来季まで浦和との契約が残るゲルト・エンゲルス監督(51)も同日、クラブ側から今季限りの解任を通告された。

 岡野は現役への執着心が何より強かった。25日の練習後に中村強化本部長から来季の契約をしない意向を伝えられても、引退はまったく頭になかった。「やりたいから(J1、J2の)こだわりはない。チームがあればボロボロになるまでやりたい」。野人らしく、納得するまで現役で突っ走る意欲を見せた。

 浦和を支えてきた精神的支柱も、若手育成を掲げる来季の構想から外れた。08年全日本ユースを制した主力4選手が、09年にトップ昇格する。中村強化本部長は「1つの過渡期。若いレベルがきているタイミング」と契約満了となった経緯を説明した。岡野と同年齢の森島(C大阪)名波(磐田)が故障を理由に引退を決めたばかりだが、野人は「自分はケガもないし、風邪さえもない。試合に出ていないので判断のバロメーターがないから」と不完全燃焼の思いが胸の奥にある。

 浦和では山田暢と同じ94年加入で現役最古参。愛着もあり、引退後は浦和に戻る気持ちは強い。「引退したらサポーター1人ずつと(酒を)飲みにいきたい」「社長もやりたい」と夢を明かすが、今は現役しか眼中にない。40歳まで現役続行を掲げる岡野は「決まらないならトライアウトに行きます」との姿勢を貫いた。

 闘莉王からは「来年こそベテランの力が必要。2人とも代えがきかない。正直、残って欲しい」と浦和退団を惜しまれた。97年W杯最終予選で「ジョホールバルの歓喜」を起こした野人は、慣れ親しんだ浦和を離れ、新天地で走り続けるつもりだ。【藤中栄二】