磐田がJ1残留をかけたラストサバイバルに、ハンス・オフト監督(61)の「北国に強い勝負運」で勝利を呼び込む。J2仙台との入れ替え戦第1戦(アウェー)に向け9日、磐田市内で調整した。同監督は磐田第1次政権(94~96年)から02、03年の浦和監督時代まで、北緯36度以北でのアウェー戦では6戦連続勝利中。敵地仙台・ユアスタでの一戦をモノにする。

 雨模様の天候の中、前日練習を行う選手らに、オフト監督は熱視線を送っていた。負ければ一気に不利になるアウェー戦を前に、普段は温厚な指揮官の眼光は鋭かった。「J2で戦ってきた勢いのまま試合に臨めることは、相手にとってプラス要素になる」と、慎重な面持ちで話した。過去4度あった入れ替え戦で、J2クラブが3度勝っているだけに、相手の勢いを警戒した。

 同監督は、北国での勝運に恵まれている。95年6月24日に北緯36度10分に位置する福井スアジアムで行われた平塚戦(現湘南)以来、36度以北のアウェー戦では6連勝している。今季途中に就任以降、北日本での開催試合がなかった。平日開催とあって、異例の12月のナイター試合。当日は静岡に比べて寒いことが予想されるが、指揮官6連勝中の勢いで絶好の機運が到来した。指揮官も「人生の大半を過ごしたオランダの気候は、寒い札幌に似ているんだ。風は札幌よりももっと強い。だから寒さはまったく問題ない」と、口も滑らかだった。

 試合のあるユアスタは北緯38度19分。今季9月に就任後、一貫して「残留のために来た」と言い続けてきたが、11戦で白星はわずか3しかない。北国に照準を定め、勝運を一気にたぐり寄せる。【栗田成芳】