<Jユース杯:G大阪4-2C大阪>◇27日◇決勝◇長居◇日刊スポーツ新聞社主催

 G大阪が兄貴分と同じ“超攻撃”で6年ぶり4度目の優勝を飾った。大会史上初の大阪ダービーとなった決勝は、2点を追う後半途中から4連続得点で一気に逆転。4-2でC大阪に快勝した。来季トップ昇格が決まっている高校1年生、MF宇佐美貴史(16)はチーム4点目のダメ押しミドルを決めるなど計2点に絡み、就任1年目の松波正信監督(34)に初タイトルを贈った。クラブW杯で世界3位に躍進したトップチーム同様、抜群の攻撃力を発揮しての日本一だった。

 試合を決めたのは宇佐美だった。3-2の後半32分。左45度の得意の位置から、狙いを定めた。右足で放ったミドルは、一直線にゴール右上に突き刺さった。G大阪の下部組織で「史上最高傑作」と評価されている16歳は、冬空に拳を突き上げて喜んだ。

 「優勝できたのは良かったし、点を取れたのも良かった。最後の試合だけ満足。今年1年は満足できた試合が1つもなかったから。気持ちよく終われた」。

 0-2からの大逆転劇。すべては宇佐美から始まった。後半6分に積極的な突破からPKを獲得。これをエース大塚が冷静に決めて1点差とした。そこからMF田中、大森と連続ゴール。宇佐美が仕掛けることでC大阪守備陣のマークを引きつけ、得点が生まれた。前半は攻めあぐんだが、後半にようやくG大阪らしい攻撃で一気に突き放した。

 注目を浴びる16歳には、悩みもあった。宇佐美は「トップに上がることばかりを考えたり、見ている人からは『いつもいいプレーをする』という目で見られる。今年は自然と楽しむのを忘れてしまった」。

 23日の準決勝東京V戦後には「何をしていいか分からない」とまで漏らした。しかし家族や仲間に腹を割って悩みを打ち明けたことで吹っ切れ、この日のゴールへとつながった。

 クラブW杯で世界3位に躍進した兄貴分と同じ“超攻撃”で頂点へと登りつめた。決勝トーナメントの4戦で計18得点。1試合平均4・5点の爆発力だ。就任1年目で王座をつかんだ松波監督は「トップと同じコンセプトでやっているし、軸はブレない。それと、現役時代からピンク(C大阪)を見ると負けたくないという思いが出るからね」と宿敵C大阪を倒しての優勝に満足顔。強豪G大阪を支える原石は、鮮やかな光を放った。【益子浩一】