<天皇杯:柏2-1東京>◇準決勝◇29日◇エコパ
柏が、東京に2-1で逆転勝ちし、優勝した前身・日立製作所時代の75年度以来、33年ぶりに決勝に進出した。前半先制されたが、後半23分にFWフランサ(32)が同点弾。同43分にFW李忠成(23)が左足ミドルで決勝点を入れた。日本リーグがスタートした65年には、古河電工、三菱重工とともに「丸の内御三家」と呼ばれた古豪が、99年ナビスコ杯以来のタイトル獲得のチャンスをつかんだ。G大阪は延長戦の末に横浜を1-0で破り、2年ぶりに決勝進出。互いの前身を含め、決勝では初の顔合わせとなった。
過去の栄光を知らない若きイレブンが、鮮やかな逆転勝利で日本一に王手をかけた。前半31分、今年8月までチームメートだった東京MF鈴木に先制される重苦しい流れを、後半から入った2トップが一掃した。まず23分。ゴール前でボールを受けたフランサが高速ドリブルを仕掛け、相手GKの股間(こかん)を抜いて同点とした。同43分には李が20メートル左足ミドルで、チームを33年ぶりの決勝に導いた。
得点後、メーンスタンド前でカズダンスを披露した李は「僕の生まれる前の話だし、昔のことはよくわからない。僕のため、親のため、チームのため、サポーターのため、石崎監督のため、日本一になることだけを考えた」と興奮気味に話した。33年前の栄光は誰も知らない。今季登録の全選手が生まれる前のことで、当時の優勝メンバーで現在、チームにかかわっている人はいない。
OBは次々とチームを去ったが、日立の走るサッカーは脈々と、受け継がれてきた。黄金期だった70年代に高橋英辰(ひでとぎ)監督(故人)の厳しい指導のもと「走る日立」の異名を取ったが、そのカラーは今でも変わらない。今年8月に東京から移籍したMF栗沢は「運動量には自信があったんですけど、こんなに走るチームはJにはない。プロになって、練習で足をつったのは初めてです」と驚いたほどだ。
95年にJ加入し、タイトルは99年のナビスコ杯のみ。当時を知る選手も現在、チームにはFW北嶋、GK南だけで、2人とも現在、レギュラーからは外れている。北嶋は「うちのチームは若い選手が多いので、タイトルを1つ取れば、自信もつくし、実力も伸びると思う。これからチームが強くなるためにも、必ずタイトルを取りたい」と意気込んだ。
優勝すれば、来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権も手に入る。アジアでもまれれば、若手はさらにたくましく成長できるはず。今季限りで退任する石崎監督は「教え子たちのためにも、何とか天皇杯を取って去りたい」。名門復活へ、あと1勝だ。【盧載鎭】



