横浜FCのFWカズ(三浦知良)が26日、42歳の誕生日を迎えた。史上最年長Jリーガーの誕生に、横浜市内のクラブハウスは「お祭り騒ぎ」。衰え知らずの肉体を持つ42歳は、100人のサポーターと50人の報道陣に祝福されて「未知の世界だけど、プロとして最高のものを見せたい」と宣言した。キング・カズが3月8日の湘南との開幕戦出場に照準を合わせ、プロ24年目のシーズンに挑む。

 横浜FCのグラウンドが「カズ色」に染まった。ズラリと並ぶカメラの前を背番号11が走る。東京学芸大との30分3本の練習試合の2本目に登場すると、いきなり40メートルシュートを見せた。得点は奪えなかったが、FW難波との2トップで4-0勝利に貢献した。

 会見には、ベージュのロングコートと同色のソフト帽で現れ、「たくさんの方に祝福されて、幸せです」と笑顔を見せた。好物のおはぎ42個と特大ケーキ、バラの花束に囲まれ「いつまでも元気に、意欲的に」と言って、また笑った。

 42歳。30歳を越えればベテランのサッカー界では常識外れだ。後輩たちが引退し、プロ野球界でも清原ら同世代がユニホームを脱いだ。過去日本サッカー界で一線でプレーした選手はいない年齢。「未知の世界だけど、プロとして最高のものを見せたい」と話した。

 自信もある。無理をしないスロー調整で「ここ数年で一番の状態」。宮崎合宿中のVMAテスト(有酸素持久力テスト)ではチームトップタイの成績を残し、樋口監督も「42歳と思えない充実ぶり」と舌を巻く。

 もちろん、衰えはある。「昔は自然発生の痛みなどなかったけれど、今はすぐに痛みが出る」という。食事から体のケアまで、人一倍神経を使う。「年は関係ない」と言いながら「年齢と戦いながらやっていく」と、本音も飛び出した。

 3月8日の開幕戦に出場すれば、ラモスの持つ最年長出場記録41歳9カ月5日を更新する。それでも、引退の時期は決めていない。「必要とされる限りやりたい」。昨季は右MFで守備の負担もあり1得点に終わったが、今季はよりゴールに近い位置でプレーする。「勝利につながるゴールとアシストを、1つでも多く決めたい」。カズは前人未踏のピッチでゴール目指して走り続ける。【荻島弘一】