<J1:山形6-2磐田>◇第1節◇7日◇ヤマハ

 J1磐田がクラブ史上最多となる6失点を喫し、波乱の船出となった。山形との開幕戦は2-6の歴史的大敗。昨季J2だったチームをホームで迎え撃ち、スタートダッシュを切るはずが、なすすべなく散った。チームはこれで4年連続開幕戦白星なし。昨季クラブ史上最低となる16位で、入れ替え戦の末J1に残留することができたが、今季も厳しいシーズンを強いられることになりそうだ。

 悲劇は残り15分間で起こった。2-2で迎えた後半30分、山形FW長谷川に勝ち越し点を許すと、その5分後には途中出場のMF北村、さらに同44分にCKからDFレオナルドに決められ、ロスタイムに再び長谷川に決められ、とどめを刺された。守備陣はズタズタに引き裂かれ、柳下監督は「ひとりひとりがボールを受けることを恐れている。この結果は非常に悔しい。ミスを恐れている感じがあった」と、嘆くしかなかった。

 40日間準備してきた新システムを、わずか55分間で捨てていた。後半10分、ボランチのMF犬塚に代えてMF松浦をトップ下に投入。今季始動から4-4-2のダブルボランチを採用し準備してきたが、あっさりと変更。同監督が「松浦を高い位置にして、攻撃的にいった。2-2に追いついたところまではよかったが、そこからの戦い方に問題があった」と述べた敗因の通り、同点に追いついた勢いのまま逆転を目指したが、逆にカウンターを狙われ4失点を喫した。6失点という数に選手からは「野球のようなスコア」と自虐的な言葉が飛び出した。

 あまりにもタイミングが悪すぎた。昨季クラブ史上最低の16位で入れ替え戦に回るという苦しいシーズンを過ごした。開幕前に選手らは口々に「毎試合、あの入れ替え戦のつもりでやらないといけない。最後に力を出すのではなく、最初から出さないと」とという言葉が発せられた。開幕戦で勝って復活を期すはずが、屈辱にまみれてしまった。

 次節G大阪戦(14日)まで1週間。それでも指揮官は「課題はシーズン初めから見えていたこと。シーズンを通してやっていかないといけない」と根は深い。大量失点に試合途中で気力を失った選手の姿に、昨季残留争い中励まし続けたサポーターからはブーイングが巻き起こった。気持ちを切り替えても、意識が変わらなければ惨劇を繰り返すことになる。わずか1試合を終えたばかりだが、早くも暗雲が立ちこめた。【栗田成芳】