<J2:愛媛0-1C大阪>◇第5節◇29日◇ニンスタ

 C大阪が、日本代表MF香川真司(20)の決勝ゴールで愛媛に1-0で勝ち、クラブ史上初の開幕5連勝で首位を守った。香川は28日のW杯アジア最終予選バーレーン戦(埼玉)でベンチ外だったが、この日に愛媛入りし先発出場。後半22分にミドルシュートで“駆けつけゴール”を決めた。2位の湘南も仙台に1-0で勝ち、開幕5連勝を飾った。

 鮮やかな一撃だった。愛媛の猛攻に耐え、カウンターを仕掛けた後半22分。香川は、MF乾からパスを受けると相手DFのマークを振り切り中央突破する。さらにもう1人をドリブルでかわすと、右足を振り抜き、華麗なミドル弾を突き刺した。20歳となって初のゴールに「個人的には苦しんでいた。結果を残せてうれしい限り。自信になる」と胸を張った。

 開幕から思うように体が動かなかった。最近は「スランプです」が口癖だった。代表合宿に参加直前の22日栃木戦では精彩を欠き後半30分に交代を命じられた。レビークルピ監督からは「代表のことを考え、浮ついていた」と厳しい指摘を受け、落ち込んだ。

 心の支えとなったのは、野球のWBCで侍ジャパンの連覇に貢献したイチローの存在だった。小学生時代、当時オリックスのイチローの大ファンで、父啓一さん(49)に連れられ、毎月のように観戦に行った。代表合宿中もWBCはテレビ観戦。イチローも苦しみながら、最後に殊勲の決勝打を放ったことに感動した。「自分も日の丸を背負っているからには、どんな時も前向きになろう」と心の中で誓った。

 日本代表ではバーレーン戦でベンチ外だったが「自分よりレベルの高い選手から何かを吸収することだけを考えた」と練習に打ち込んだ。そして、C大阪に戻ってすぐ、殊勲のゴールを決めた。「これからが勝負です。勝ち続けたい」ときっぱり。香川に、もうすぐ本格的な春が訪れそうだ。