手負いのエースが、強行出場をアピールだ。J1山形FW長谷川悠(21)が14日に、16日の広島戦での先発復帰を熱望した。2日の柏戦で右足首をひねり、ここ2試合はベンチ外。全治3週間の診断だが、故障から13日目のこの日、全体練習に合流し紅白戦もこなした。驚異の回復力を見せたエースは痛みを我慢し、4戦ぶりの勝利へ全力を注ぐ。痛みは残る。だが、それを押し殺せる「エースの自覚」が、長谷川にはある。「痛みがなくなるまで待ってると、どんどん日にちがたつ。やりながら治す」。右足で踏ん張れば痛み、疲労がたまると患部がうずく。それでも「腱(けん)をやってないので、このくらいの痛みならやれる」と意欲をみなぎらせた。

 日本人トップタイの5得点。波に乗った直後のアクシデントだった。「仕方ない。(故障を)繰り返さないようにする」と、プロ初となる故障での欠場を悔やんだ。連戦中の離脱がいい休養になった―。そんな思いなど、長谷川にはまったくない。体力の回復力に自信を持ち「(相手が)疲れているんで(荒稼ぎを)狙ってた」と連戦中のゴール量産をもくろんでいた。

 この日、紅白戦で20分間出場させ状態をチェックした小林監督は「動きは問題ない。明日(15日)リバウンドがなければ」と、先発復帰を示唆した。患部をテーピングで4日間、締め付けたため靴を履けないほどつま先が腫れ上がったが、それも解消。昨季2ゴールの「広島キラー」は「ゴールに近いところで張ってます」と不敵に笑った。欠場中に取り逃したゴールを奪い、チームを再び上昇気流に乗せる―。長谷川がエースの風格を発散させる。【山崎安昭】